こんにちは、佐藤祐真です
前回は、「止まる現場を動かすための小さなアクション」について書きました。
あれから多くの方から「現場の“人間関係”の方が難しい」といった声をもらいました。
そこで今回は、ディレクターにとって避けて通れないテーマ、
「修正依頼」について掘り下げていきます。
僕も新人の頃、ここで何度もつまづきました。
内容は正しいのに、なぜか相手がムッとする。
メールを送ったあとに「これ、書き方まずかったかな…」と後悔する夜。
でも、修正依頼って“お願い”じゃなくて“調整”なんです。
つまり、伝え方次第で現場の空気が変わる。
今回はそのコツを4つにまとめました。
“指摘”ではなく、“目的”を伝える
多くのディレクターがつまずくのは、
修正依頼を「問題指摘」として伝えてしまうことです。
「ここ、違うので直してください」
「もう少し強調したいので赤にしてください」
この言い方は、内容としては間違っていない。
でも、受け取る側からすると、「自分の意図を否定された」ように感じます。
では、どうすればいいか。
コツは“なぜ変えるのか”を一緒に伝えること。
「スマホで見たときに見えづらいので、もう少しコントラストを上げたいです」
「ユーザーが迷わないように、CTAの導線を強調したいんです」
つまり、修正理由を「目的」に変換する。
これだけで、相手の受け取り方がまるで違います。
僕が新人のころ、デザイン修正をお願いしたときに怒られたことがあります。
そのときにデザイナーさんから言われた言葉が忘れられません。
「“ダメだから直して”じゃなくて、“届けたい人に届かないから直したい”って言ってほしい。」
それ以降、僕は修正を出す前に必ず自問しています。
「この依頼は、“目的の共有”になっているか?」
修正は“否定”ではなく、“共通ゴールの再調整”。
そう考えると、伝え方のトーンが自然と柔らかくなります。
“正しさ”より“気持ちよさ”を優先する
修正依頼って、つい“論理”で説明しがちです。
でも現場で大事なのは、「伝わること」より「受け取られること」。
どんなに正しい指摘でも、相手が気持ちを閉ざしたら進まない。
だから僕は、“言葉の体温”を意識して依頼を出します。
たとえば、同じ内容でもこの2つでは温度が違う。
❌「これ、色味が合ってないです」
⭕「もう少し温かみのある色にしたいと思っていて、相談させてください」
あるいは、
❌「構成が弱いので直してください」
⭕「このページの流れをもう少し“読みやすい順番”に変えてみませんか?」
言葉を“攻め”ではなく“共創”に変えるだけで、
空気がふわっと軽くなる。
僕がよく使う「柔らかく伝えるテンプレート」を紹介します
| シーン | クッションの一言例 |
|---|---|
| 修正をお願いするとき | 「一度ご相談なんですが」「方向性を合わせたいなと思っていて」 |
| 相手の提案を変えたいとき | 「少しだけ視点を変えてみるとどうですか?」 |
| 修正の意図を説明するとき | 「ユーザー目線で見たときに、こう見えるかもしれないと思って」 |
“相手に非を伝える”のではなく、“一緒に整える”。
修正依頼は、対話で進めるコミュニケーションなんです。
「誰の言葉で伝えるか」を選ぶ
意外と見落とされがちなのが、この「主語の選び方」。
たとえば、同じ修正でも——
「僕としては直した方がいいと思います」
と言うのと、
「クライアントが“ここをもう少し見せたい”とおっしゃっていました」
では、印象がまったく違います。
前者は“あなた対私”の構図。
後者は“チーム対目的”の構図です。
僕が現場でよく使うのは、この3パターン。
- クライアント主語:「お客様の意図としては〜」
- ユーザー主語:「ユーザーの視点から見ると〜」
- チーム主語:「僕たちのゴールとしては〜」
この3つを使い分けるだけで、
「なぜその修正をするのか」が納得されやすくなります。
さらにもう一歩踏み込むと、
“伝える順番”にもコツがあります。
① 相手の意図を受け止める
② 目的を再確認する
③ 修正提案を出す
これを意識するだけで、同じ修正依頼でも「一緒に考えてくれている」と感じてもらえる。
たとえば:
「ここのデザイン、雰囲気すごくいいですよね。
もう少しこの商品の高級感を出したいので、色味を深くするのはどうでしょう?」
“まず褒めてから、目的に沿って提案”という順番。
この流れは、どんな相手にも通用します。
伝えた後こそ、本番
修正依頼は「出した瞬間」で終わりではありません。
むしろ本番は、そのあとのフォローです。
僕がチームディレクションをしていて意識しているのは、
「反応の温度を観察すること」。
メールやチャットでは、文字の裏に感情が隠れます。
返信がいつもより遅い、語尾が短い、スタンプが減った——
それは小さなサインです。
そんなとき、僕はあえて5分の雑談を入れます。
「この案件、どんな印象でした?」
「正直、ちょっとやりづらかったところありました?」
この“雑談の一言”が、修正よりもチームを動かすことがあります。
実際、あるデザイナーさんがこう話してくれました。
「あのとき“どう感じた?”って聞かれたの、嬉しかったです。
修正そのものより、“ちゃんと見てくれてる”って感じたので。」
修正依頼とは、言葉のやり取りではなく信頼のキャッチボールなんです。
フォローの最後に「いつもありがとうございます」「助かってます」と一言添えるだけで、
相手の“気持ちの在庫”が回復します。
小さな積み重ねが、空気の良いチームを作ります。
おわりに
修正依頼は、ディレクターにとって「最もよく使う言葉」です。
だからこそ、“伝える技術”を磨くほど現場が穏やかになります。
内容の正しさではなく、言葉の温度。
正論より、誠実さ。
「相手が気持ちよく動ける伝え方をしているか?」
それを一度立ち止まって考えるだけで、
チームの生産性も信頼も、驚くほど変わります。

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