「これ、流行ってるからやりましょう!」の罠
こんにちわ、田中です。
SNSやWebメディアの現場でよく聞くフレーズ、
「これ、今バズってるんですよ!」。
悪くありません。
むしろトレンドをキャッチして提案できるのは、若手ディレクターの強みです。
でも、気をつけたいのは——
「流行っている=うちの企画に合う」ではないということ。
トレンドは“風”みたいなもの。
風に乗るのは楽だけど、自分の目的地を見失うと、どこへ行くか分からない。
私はSNS担当からディレクターになったとき、
“数字が伸びること”をゴールにしていた時期がありました。
でも、クライアントに聞かれたんです。
「で、これってうちのブランドとどう関係あるんですか?」
その一言でハッとしました。
「流行に乗る」だけでは、ブランドもユーザーも置き去りになる。
“流行”と“本質”を仕分ける3つのフィルター
トレンドを追いかけるとき、私が必ず通しているのがこの3つのフィルターです。
①「目的」フィルター
→ このトレンドは、何を実現したい目的とつながっている?
例:
- ブランド認知を上げたい?
- エンゲージメントを高めたい?
- ファンとの関係性を築きたい?
目的と関係ない流行は、
どんなに数字が伸びても“結果の錯覚”でしかありません。
②「ブランドらしさ」フィルター
→ うち(またはクライアント)の“らしさ”と矛盾していない?
たとえば、落ち着いたブランドが
「バズる音源を使って踊ってみた!」をやってしまうと、
一時的に話題になっても信頼は下がる。
SNSは“ブランドの人格”を毎日見せる場所。
一度崩れると、立て直すのは時間がかかります。
③「ユーザーの文脈」フィルター
→ ユーザーにとって“自然な発見”になっている?
流行を押しつけるより、
ユーザーの行動・気分・生活シーンの中で“見つかる形”に落とし込むこと。
たとえば、流行語をそのままタイトルに入れるのではなく、
トーンだけ借りて自分たちの言葉に言い換える。
この3つを通すだけで、
「勢いで作る企画」から「軸のある提案」に変わります。
“芯のある企画”は、ブレない言葉から始まる
SNSで企画を立てるとき、
私はまず「この企画を一言で説明できる?」と自分に問いかけます。
もし10秒で言えないなら、まだ企画が“芯を持っていない”証拠。
たとえば——
| トレンド重視の企画 | 芯のある企画 |
|---|---|
| 「○○チャレンジに乗っかってユーザー投稿を促す」 | 「ユーザーの“初めての○○体験”を共有する投稿企画」 |
後者は、流行に頼らず「体験をシェアする」という軸がある。
だから、チャレンジが終わっても語れる企画になるんです。
企画の芯は、「なぜやるか」より「何を残したいか」。
その問いを立てられるディレクターは、トレンドにも流されません。
“一過性の盛り上がり”より、“語り続けられる理由”を作る
流行企画の多くは、話題になった瞬間がピークです。
でも、本当に強い企画は、時間を置いても価値が残る。
たとえば、SNS上でファンが「懐かしいね」と言ってくれるような企画。
それは一度終わっても、コミュニティの記憶に残ります。
そのために意識したいのが、
「短期の熱量」×「長期の信頼」の掛け算。
短期の熱量はトレンドが助けてくれます。
でも、それをブランドの信頼に変えられるかどうかは、
“メッセージの一貫性”で決まります。
「流行に乗らない勇気」も、ディレクターの判断力
SNSの企画会議で、
「これ、今バズってます!」という声に、
あえて「今回はやめましょう」と言うのは勇気が要ります。
でも、“やらない判断”こそディレクションの本質。
“やらない理由”をデータやブランド軸で説明できると、
チームの信頼が生まれます。
私が実際に提案を止めたとき、
「慎重だね」ではなく「冷静な判断をありがとう」と言われたことがあります。
その一言で、「ブレない軸がある人」と見てもらえるようになりました。
流行に飛びつかない姿勢は、
“保守的”ではなく、“長期的な熱量を育てる選択”。
ディレクターは、企画の温度を調整するサーモスタットなんです。
流行の波に乗る前に、海図を描こう
トレンドは波。
でも、波に乗る前に“どんな海を進むのか”を決めるのがディレクターです。
- 流行に乗る前に「目的・らしさ・文脈」をチェックする
- 一言で説明できる“企画の芯”を見つける
- “やらない判断”も勇気を持って下す
流行を使いこなすことは、
波を読む技術より、自分の航路を描く力にかかっています。
トレンドに踊らされず、
トレンドを“味方にできる”ディレクターでいきましょう。

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