「数字の羅列」では、誰も動かない
提案書をつくるとき、数字を入れるのは当たり前になっています。
でも、いざ会議でプレゼンしてみると「ふーん」で終わってしまう。
GA4のグラフを並べ、セッション数やコンバージョン率を示しても、相手のリアクションが薄い…そんな経験、ありませんか?
理由はシンプルです。
数字そのものには「感情」がないからです。
数字が“伝わる”瞬間というのは、そこに現場の手触りやストーリーが乗っているときなんです。
目次
数字の「手触り」を見つける
GA4で得られるデータは、すべて“現場の行動の結果”です。
だから大切なのは、数字を「起点」ではなく「痕跡」として読むこと。
例えば、あるページの直帰率が高いとき。
- 直帰率:78%
- 平均滞在時間:1分40秒
- 流入チャネル:SNSが7割
この3つを見て、「SNS経由だと流し見が多いのかもしれません」で終わらせるのはもったいない。
GA4のイベントデータやスクロール深度を見ると、「1分以内で6割が離脱」「動画コンテンツに到達していない」など、もう一歩深い“手触り”が見えてきます。
ここでようやく、「興味はあるが、動画にたどり着けていないUXの問題かもしれない」という仮説が立てられる。
提案の説得力は、この“手触りのある仮説”から生まれます。
数字を「ストーリーの順番」で並べ替える
良い提案書は、数字の“順番”に物語がある。
GA4のレポートをそのまま載せても伝わらないのは、データの構造がストーリーではなく体系だからです。
たとえば、下のように流れを再構築します。
- 背景:SNS投稿強化後、セッションが1.5倍に。
- 発見:しかし直帰率が78%に上昇。
- 分析:動画導線のCTRが0.8%と極端に低い。
- 仮説:「ファーストビューに動画が埋もれている」可能性。
- 提案:動画をカード化し、見出し前に配置。
こうすると、数字の羅列が因果関係を持つストーリーになります。
「数字 → 課題 → 打ち手 → 期待効果」
この流れを保つだけで、読み手の理解速度が上がる。
つまり、“数字の順番”が論理の流れそのものなんです。
事例データを「補助線」として使う
GA4だけで語れる提案は限界があります。
そこで効いてくるのが、「事例データ」です。
たとえば、他社や自社の別案件で得られた定量結果を、“補助線”として挿し込む。
- 【A社】動画導線の配置変更でCTR +240%
- 【B社】ページ滞在時間が1.4倍に伸長
- 【自社】過去キャンペーンでのコンバージョン上昇率+18%
これらをGA4データの横に置くと、「提案に裏づけがある」印象が生まれます。
重要なのは、“引用目的”ではなく“比較目的”で使うこと。
つまり、「うちでも似た傾向が起こりそうだ」という再現性の見せ方を意識することです。
グラフは“主語”を持たせる
数値の説得力は、視覚化の意図でも大きく変わります。
GA4から出力したグラフをそのまま貼るのではなく、「誰にとって」「何が」「どれだけ変化したか」を主語として加えるだけで、伝わり方が一気に変わります。
Before:
グラフタイトル:「セッション数の推移」
After:
グラフタイトル:「SNS経由ユーザーが増加し、流入が全体の65%を占めるようになった」
数字だけのグラフを“動詞のある文”に変える。
これが、データを「語る」ための一歩です。
提案の最後に“数字で再予告”を入れる
もうひとつ、数字で伝える提案を強くするコツがあります。
それは、最後にもう一度数字を出すこと。
ただし、今度は「仮の結果」を未来形で提示します。
例:導線変更により、CTRが0.8% → 2.5%程度に改善すると想定。
同様の改善で離脱率が20%減少した事例もあり、
結果としてCVRは+15%程度の上昇を見込む。
これはいわば、「数字による再予告」。
未来を“見せる数字”があるだけで、提案の終わり方が変わります。
相手は「投資の見込み」をイメージできるからです。
提案書を「検証可能な仮説」で締めくくる
最後にもうひとつ。
説得力のある提案とは、“正しい”より“検証できる”ものです。
「この施策で結果が出ます」と言い切るよりも、
「この仮説をもとに検証すれば、改善の方向性が見える」
この言い方のほうが、信頼されます。
数字は証拠でもあり、問いでもある。
GA4のレポートは、提案の“終わり”ではなく“出発点”なんです。
“数字の中に現場を残す”
最後に、僕がいつも意識しているのは、数字の中に現場の実感を残すこと。
グラフの向こう側には、実際にページを訪れた人がいて、迷ったり、立ち止まったりしている。
その痕跡を読み解くのが、僕たちディレクターの仕事です。
数字は冷たいものではありません。
クリックの数ひとつにも、「その人が動いた理由」がある。
GA4というレンズを通して見えるのは、行動の“手触り”です。
その感触を残したまま数字を語れるとき、提案書は単なる資料から、“共感できる説得”に変わります。
“数字で語る”提案の5つのポイント
- 数字は「痕跡」として読む。手触りのある仮説を立てる。
- データを“ストーリーの順番”で並べ、因果を見せる。
- 事例データは「補助線」として再現性を補う。
- グラフは主語と動詞を持たせる。
- 最後に「検証できる未来」を数字で予告する。
数字で語るとは、ロジックを磨くことではなく、数字の中に人を見つけること。
その視点を持てば、提案書の1ページ1ページが、もっと現場の“実感”を伴って動き出します。

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