12月は、現場がもっとも“詰まりやすい”季節です。
案件数が増える、デザイン・開発が繁忙期に入る、クライアント側の承認が止まりやすくなる、年末年始の休暇が近づいて作業できる日数自体が減る。
一年のうちで、最も段取りの緊張感が高まる時期といっても過言ではありません。
そんな環境のなかで若手が苦しみがちなのが、
「優先順位をつけたのに、すぐに崩れてしまう」 という問題です。
スケジュール通りに進めようと努力しても、次々と予想外の調整が発生し、
ときには午前中に立てた計画が午後には完全に変わっている。
12月の現場では、そんなことが珍しくありません。
今回のテーマは、
詰まりやすい時期にこそ必要になる“優先順位の並べ替え”の力。
固定の優先順位ではなく、状況に合わせて何度でも並べ直すことが、
チームの安心感と進行の安定につながります。
後半のコラムでは、私自身が12月の進行管理で苦労した経験から、
優先順位を並べ替えるという考え方をどう身につけたかを振り返ります。
目次
12月の詰まりやすい進行を解消する “優先順位の並べ替え”の3つの視点
1. 固定した優先順位では回らない “朝と午後で計画を変える”前提を持つ
12月の現場では、優先順位を一度つけたら終わり、という状況はまずありません。
朝に決めた計画がそのまま通用する日はむしろ稀です。
- クライアントの承認が遅れる
- 想定より差し戻しが多い
- デザインが繁忙で対応順が前後する
- CMS側の作業が重なり、人の工数が足りない
- 緊急対応が飛び込む
12月は“予測できる想定外”が増える時期です。
だからこそ、優先順位を固定するのではなく、
何度でも並べ替える前提で動くことが大切です。
若手がつまずきやすいのは、
「一度決めた順番を守らなければいけない」
と思い込んでしまうことです。
しかし、中堅やベテランはむしろ逆で、
「進行は揺れるもの」
「計画は揺れていいもの」
という前提で動いています。
この“前提の差”が、詰まった時の対応力に大きく影響します。
12月の進行管理は、
朝・昼・夕方で優先順位を並べ替えるくらいでちょうどいいのです。
これを自然に行えるようになると、詰まりが発生しても現場が乱れにくくなります。
2. 並べ替えの基準は、“影響の広い順” と “止まりやすい順”
優先順位をつける時、若手の多くは
「急ぎ依頼」
「今日中にやるべき作業」
など、表面的な期限を基準にしがちです。
しかし12月は、この判断が通用しません。
重要なのは、
“止まると困るもの”と“影響範囲が広いもの”を先に処理すること。
例を挙げます。
- デザイン初稿の差し戻し
→ 午前に返すか午後に返すかで翌日の作業が大きく変わる - クライアント承認待ちの論点整理
→ 承認がずれると、年末の公開スケジュールに影響 - CMS作業の仕様確認
→ 不明点を早めに潰さないと、開発側の作業が止まる - チームメンバーの負荷分散
→ 一人に作業が集中すると、詰まりが連鎖する
優先順位は“急ぎ順”ではなく、
影響順 × 詰まりやすさ順
で並べ替えます。
特に12月は、これができるかどうかで進行の安定感が大きく変わります。
優先順位を整えるのは若手の基礎スキルですが、
優先順位を並べ替えるのは、現場の判断力です。
3. 並べ替えた優先順位は、“最初に影響する人”へ先に伝える
若手が見落としがちなのが、
並べ替えた優先順位を「順番に共有してしまう」ミスです。
12月は、共有の順番を間違えるだけで進行が詰まります。
例えば、
- デザイナーの作業に影響するなら、デザイナーへ最優先で伝える
- 開発が夜間作業に入るなら、昼の時点で仕様の確定を知らせる
- クライアント承認が必要なら、最初にメールを投げる
- チーム内の負荷が偏るなら、早めに状況を共有する
“誰が最初に困るのか”を見極めて、その人へ最初に伝える。
これだけで、優先順位は機能し始めます。
12月は、共有が遅れた瞬間にスケジュール全体が詰まる時期です。
最初の一報を早く届けるだけで、チームの安心感がまったく違います。
優先順位の並べ替えは、
単なる整理作業ではなく、
“チームの呼吸を保つための調整” なのです。
12月の詰まりを前に、優先順位を“守ること”に固執してしまった話
若手の頃、私は12月の進行管理がとても苦手でした。
理由は今振り返ればとてもシンプルで、
優先順位を固定したまま動こうとしていたから
でした。
ある年の12月、複数案件が重なり、私はスケジュールをきれいに整え、
「今日はこれをやって、午後にこれをやる」という計画を細かく管理していました。
しかし、現場はその通りには進みません。
- クライアントの承認が想定より遅れる
- デザイン初稿の差し戻しが思った以上に多い
- ライターが別案件で立て込む
- CMS環境で不具合が発生する
朝に組んだ計画が、昼には崩れている。
その状況を前に、私は“計画を守ること”に必死になっていました。
その結果、
- 差し戻しが遅れ、デザインチームを止めてしまう
- 承認が詰まり、別案件の公開が押す
- 開発の着手に影響が出て、全体の流れが乱れる
私だけが計画を守ろうとして、
チーム全体の流れは逆に停滞していました。
そんな私に、当時のリーダーが言った言葉があります。
「優先順位は、守るものじゃなくて、並べ替えるものだよ。」
「12月は一番“動く”時期。優先順位も一緒に動かせばいい。」
その言葉に、肩の力がすっと抜けました。
私はその日から、
- 朝・昼・夕方の“三度の並べ替え”
- 並べ替えた理由の簡単な共有
- 最初に困る人への一報
を徹底しました。
すると、進行が驚くほど滑らかになり、
チームも安心して動けるようになりました。
12月は、詰まりが起きることが前提の月。
大事なのは、詰まりをゼロにすることではなく、
詰まりに合わせて優先順位を柔らかく変えられることでした。
現場の流れに合わせて優先順位が動くことを許した瞬間、
進行管理の見え方が変わり、
チームとの呼吸も自然と揃っていったのです。

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