“来年の自分をラクにする準備” 新しい一年に向けて整えておきたいディレクターの視点

がんばりすぎない一年にするために “心の整理”から始める働き方の準備

一年の終わりが近づくと、「来年こそは、もう少しラクに働けるようになりたい」と、ふっと思う瞬間がありませんか。

がんばること自体は、きっと嫌いではない。
けれど、一年を振り返ったときに、
「ちょっとがんばり方を間違えていたかもしれない」
「しんどさのわりに、あまり前に進めていない気がする」
そんな、言葉になりきらない違和感が胸の奥に残ることがあります。

来年の自分をラクにするために必要なのは、
新しい手帳でも、便利なツールでも、立派な目標でもなく、
まずは、自分の心をそっと整理することかもしれません。

今年、どこで無理をしていたのか。
何に過剰に反応していたのか。
どんなときに「もう少し大事にしてあげればよかった」と感じるのか。

今回は、仕事納め直前でも読み返したくなるような、
“心の整理”から始める働き方の準備について、
実務と心の両方から考えてみたいと思います。

がんばりすぎてしまった一年をほどく 心の整理は「事実」と「感情」を分けるところから

年末に「来年はがんばり方を変えたい」と思うとき、
私たちがやりがちなのは、
「もっと効率よく」「もっと早く」「もっとミスなく」と、
自分にさらに条件を足してしまうことです。

でも、それでは結局、
“がんばる量”を増やしているだけかもしれません。

心の整理の第一歩は、
これ以上、自分に条件を足さないこと。
代わりに、「事実」と「感情」をそっと分けて眺めてみることです。

たとえば、こんなふうに。

・事実:いつも夜遅くまでタスクが残っていた
・感情:終わらない自分が情けないと感じていた

・事実:年末は依頼を断れずにすべて引き受けていた
・感情:頼られるのはうれしいけれど、苦しくもあった

・事実:曖昧なまま進めて、後から修正が続いた
・感情:何度も訂正をお願いすることに申し訳なさを抱えた

このように、「何が起きていたか」と「どう感じていたか」を分けて書き出すだけで、
頭の中のもやが、少しずつ輪郭を持ち始めます。

すると、「来年はもっとがんばらなきゃ」という発想ではなく、
「来年は、この部分のがんばり方を変えてみよう」という視点に変わっていきます。

そして、もう一つ、心の整理で大切なのは、

・積み重ねてよかったがんばり
・無理をしなくてもよかったがんばり

この二つを分けてあげることです。

前者は、来年も丁寧に続けたい自分の力。
後者は、少しずつ手放していい、自分への負荷。

この区別がつき始めると、
来年に向けて「何を増やすか」ではなく、
「何を減らすか」「何をやめるか」という判断がしやすくなります。

心の整理とは、
自分を責めるための振り返りではなく、
“がんばり方の棚卸し”をする時間なのだと思います。

来年の自分をラクにする“準備ノート” 心と実務をつなぐ3つの問い

心の整理が少し進んできたら、
次は「来年の自分のための準備」に視点を移していきます。

ここでおすすめしたいのが、
“準備ノート”を一冊つくること。
立派なものでなくて構いません。
今年一年の中で見えてきた
「変えたいこと」「守りたいこと」を書き留める場所です。

そのノートに、最低限書いておきたいのが、次の3つの問いです。

  1. 来年は“どんながんばり方”を減らしたいか
  2. 来年は“どんな支え方”を増やしたいか
  3. 来年の自分に「これは約束したい」と思えることは何か

たとえば、1つ目の問いには、こんな答えが並ぶかもしれません。

・曖昧な指示をそのまま受け取って、後から一人で悩むがんばり方
・すべてを自分で引き受けようとして、ぎりぎりまで相談しないがんばり方
・相手の機嫌を過剰に気にして、自分の時間を削ってしまうがんばり方

2つ目の問いには、こうした言葉が浮かんでくるかもしれません。

・“途中で渡す”ことで、チームで支える働き方
・判断を一人で抱え込まず、早めに共有する支え方
・相手の感情だけでなく、“状況”をいっしょに整理する支え方

そして3つ目の問い、
「来年の自分に約束したいこと」は、できるだけ小さくていいと思います。

・5分以上悩んだら、一度誰かに共有する
・“どう感じたか”より前に、“何が起きているか”を見る
・夜遅くまで仕事をした日は、自分を責める言葉ではなく、いたわる言葉で一日を終える

こうして言葉にしておくと、
新しい一年が始まったあと、
忙しさの波に飲み込まれそうになったときに、
このノートが、自分に戻るための小さな目印になってくれます。

がんばりすぎない一年にするための準備は、
決意ではなく、自分とのやわらかな約束から始まるのだと思います。

“今年の自分”に手紙を書くように 年末のノート時間のこと

年末になると、私は一冊のノートを取り出します。
そこに書くのは、立派な目標ではなく、
この一年、どこで自分ががんばりすぎていたか、というささやかな記録です。

まるで、“今年の自分”に手紙を書くような感覚で、
少しずつ、言葉を置いていきます。

「ここは、よくがんばっていたね」
「この場面では、もう少し早く頼ってもよかったかもしれないね」
「この時に感じていたしんどさを、来年は少し減らしてあげたいね」

仕事での出来事を書きながら、
そのときの気持ちも、静かに添えていきます。

最初のころの私は、
振り返りというと“反省会”のようなものを思い浮かべていました。
できなかったこと、足りなかったことを並べて、
「来年こそは」と自分にさらに負荷をかけてしまうような振り返りです。

でも、ある年の年末、心が限界に近づいていたときに、
いつものように“改善点”を書き出す気力がどうしても湧かなくて、
代わりに「今年の自分にかけたい言葉」を書いてみたことがありました。

「あのとき、怖かったよね」
「本当は、悔しかったよね」
「でも、それでも仕事に行き続けていたね」

そうしているうちに、
少しずつ、自分の内側で何かがほどけていくのを感じました。

そこから、私の年末のノートは大きく変わりました。

・心がすり減っていた瞬間を、そのまま認める
・がんばりすぎていたところに、やさしい言葉を置く
・来年の自分に「これは守ろう」と思える小さな約束を書く

それは、仕事の計画というよりも、
「自分と仕事との付き合い方」を整える時間に近いものです。

ノートを閉じる頃には、
来年の具体的な目標が決まっていなくても、
「少なくとも同じ傷つき方はしないであげたい」という気持ちだけは、
はっきりと胸の中に残ります。

がんばりすぎない一年にする準備は、
派手な宣言からではなく、
自分の心にそっと寄り添うこの小さな時間から始まるのだと思います。

“がんばり方”を整える一年にする

来年をラクにしたいと願うとき、
私たちはつい、「もっと効率的に」「もっと器用に」と、
自分に新しい条件を足してしまいがちです。

けれど、来年の自分を本当にラクにするのは、
がんばる量を増やすことではなく、
がんばり方そのものを整えることなのだと思います。

今年の自分にやさしく振り返りを向けること。
心がすり減っていた場所を見つけて、同じ形で傷つかないよう準備すること。
それは、来年の自分への、ささやかだけれど確かな贈り物です。

新しい一年が、
「もっとがんばらなきゃ」ではなく、
「このくらいなら続けていけそうだな」と思える働き方でありますように。

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投稿者

藤井 真帆
藤井 真帆
編集プロダクション出身。働き方やキャリア形成をテーマに、Webディレクターやクリエイターの“リアルな悩み”に寄り添う記事を多く執筆。取材経験を活かし、読者の気持ちに近い視点で「働き方を整えるヒント」を発信している。