“来年の自分をラクにする準備” 新しい一年に向けて整えておきたいディレクターの視点

企画の“テンション”を整える 来年の投稿をラクにする準備のしかた

今年のSNS投稿を振り返っていて、ふと思う瞬間がある。
「あ、これ、テンションの“整え方”で全部変わったな」と。

SNSの投稿って、構成・写真・文量・企画意図…いろんな技術が絡むけれど、
最終的に“刺さるかどうか”を左右するのは テンション だ。

  • 明るいのか
  • 落ち着いているのか
  • 速いのか
  • 軽いのか
  • 情報寄りなのか
  • 共感寄りなのか

どの投稿も「何を伝えるか」より先に、
“どんなテンションで伝えるか” が決まる。

このテンションの整理は、年末こそやる価値が高い。
理由はシンプルで、
来年の企画がラクになるから。

テンションが整っていると、
投稿の型が自然に決まり、迷いが減り、判断も速くなる。
逆にテンションが曖昧なままだと、毎投稿が“ゼロから作業”になって疲れやすい。

今回の第23回では、
来年の自分をラクにする「企画テンションの棚卸し」 をテーマに、
SNSディレクターの実務としての整理方法をまとめる。

そして後半のコラムでは、
僕自身が「テンションの整理でSNS運用が変わった」と実感した日の話を添えた。

年末の終わりに読むからこそ価値が出る…そんな記事にしていく。

企画のテンションを整えると“迷いが消える”

SNSの発信がブレる理由はいろいろあるけれど、
その約半分は “テンションの管理不足” だ。

理解されない投稿の多くは、内容ではなくテンションが噛み合っていないケースが多い。

■ テンションを整えると、企画が安定する

SNSは「何を言うか」より「どう言うか」が圧倒的に見られる世界。
だからテンションが揃っていると、

  • 投稿の印象が安定する
  • ペルソナの受け取り方が予測しやすくなる
  • シリーズ企画の“流れ”が整う
  • 外れ値の投稿が減る
  • 企画の設計が早くなる

という“運用の地力”が一気に上がる。

■ テンションは“5つの軸”で棚卸しできる

年末に見直すなら、以下の軸がもっとも使いやすい。

1)明るさ(Bright / Calm)
2)情報量(Light / Deep)
3)スピード感(Fast / Slow)
4)距離感(Close / Distant)
5)重さ(Lightweight / Heavy)

この5つの軸を振り返りながら、
自分の投稿がどのゾーンに偏っていたか見てみる。

SNSディレクターは、気づかないうちに“好きなゾーン”に寄りがち。
年末の棚卸しは、テンションの偏りを可視化する絶好のチャンス。

■ 企画は「テンション表」で設計するとラクになる

僕はテンション管理に
「企画テンション表(1枚の簡易チャート)」 を使っている。

  • 明るめのテンションで出す企画
  • 情報強めで出す企画
  • 落ち着いたテンションが合う企画
  • 共感中心で届けたい企画

これらをマッピングしておくと、
来年の投稿を考えるときに“迷わない地図”として使える。

■ 迷ったときは“テンションで決める”が正解

企画を練る時点では、内容よりテンションを先に決めるとラク。

例えば:

  • 今月は「軽めのテンション」を軸にする
  • この企画は「落ち着いた語り」で刺す
  • 同じテーマでも「明るい」版と「ニュートラル」版を比較する

テンションが決まるだけで、
文章・写真・構成が自動的に整っていく。

SNSの企画は“テンション設計が8割”と言ってもいい。

来年の企画をラクにする“テンション準備術”

年末にテンションを整えておくと、
本当に来年のSNS運用がラクになる。
ここからは、実務としての“準備術”を紹介する。

■ 1)来年の“基本テンション”を3つだけ決める

テンションは無限に作れるけど、運用に使うのはせいぜい3つ。

例:

  • 軽め・明るめ(Light × Bright)
  • 中立で落ち着いた(Neutral × Calm)
  • 情報強めだけど優しい(Deep × Warm)

これを決めるだけで、企画の初速が確実に速くなる。

■ 2)「テンション別の投稿型」を作っておく

テンション × 型 の組み合わせがあると、企画が一気に回しやすくなる。

例:

● Light × Bright
→ 写真+ひとこと/日常ネタ/距離を縮める投稿

● Neutral × Calm
→ 気づき投稿/ミニコラム系/短めTips

● Deep × Warm
→ ストーリー構造/3スライド/ミニ読み物

テンション別の型があると、来年の“発信の迷い”は激減する。

■ 3)テンションの“やってはいけない組み合わせ”も決める

たとえば:

  • 深い情報 × 明るい絵文字乱用 → 情報が軽く見える
  • ネガティブ系 × 明るい写真 → 誤解されやすい
  • 軽い企画 × 深すぎる語り → 伝わりにくい

NGテンションを先に言語化しておくと、企画判断が速くなる。

■ 4)テンションは“年の前半・後半”で変えていい

SNSは半年単位で空気が変わる。
だからテンションを固定しすぎない方がいい。

  • 前半は情報寄り
  • 後半は距離を縮める投稿
  • 夏は軽く、秋は落ち着きめ

この“季節テンション”を来年の運用に組み込むだけで、届き方が変わる。

■ 5)テンションはチームで共有する

テンションは属人的に見えるけど、
実は共有資産にしてこそ意味がある

  • このアカウントの“基本テンション”
  • 避けるべき語り口
  • 年末年始はどんなテンションで行くか
  • キャンペーン期間中はどこを上げるか

これを整理しておくと、チーム全員の判断速度が上がる。

SNSのテンション管理は、来年の“生産性”を決める。

テンションを整えた年、SNS運用が劇的に変わった話

数年前、僕のSNS運用はとにかく迷走していた。
企画は作れる。でも、刺さるときと刺さらないときの差が激しい。
投稿のテンションが毎回バラバラで、自分でも“どれが正しい表現なのか”分からなくなっていた。

そんなある年末、上長に言われた。

「村上、お前は企画は作れるけど、テンションの整理が甘い。
 企画の芯が強くても、テンションがズレたらSNSは刺さらないぞ」

当時の僕は、その言葉の意味がよく分からなかった。
「テンションって何?」「企画とどう違うの?」というレベルだった。

でも、その年の投稿を棚卸ししていて気づいた。

伸びた投稿は全部、テンションが軽い。
失敗した投稿は、テンションが重い。

情報の量でも、構成でもなかった。
“伝わる空気感”の問題だった。

翌年、僕は運用の最初に
「今年のテンションを3つだけ決める」
ことから始めた。

  • 軽くて読みやすい
  • 落ち着いていて視点がある
  • 情報を渡すけど負担にならない

この3つのテンションを軸に、その年の投稿を設計した。

結果はすぐ出た。
迷いが減り、判断が速くなり、
SNSの数字も安定し、企画の質も上がった。

何より驚いたのは、
「投稿が楽しくなったこと」 だ。

テンションが整っていると、
企画をつくる時の“肩の力”が自然に抜ける。
文章も書きやすくなるし、写真の選び方も瞬時に決まる。

あの年、僕ははっきり学んだ。

SNS運用はテンション設計でほぼ決まる。
そしてテンションは、年末にしか整えられない。

来年が忙しくなる前に、今年のうちに自分の“発信の空気”を整えておく。
それだけで、仕事が一段ラクになる。

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投稿者

村上 駿
村上 駿
SNSマーケティング会社出身。SNSとオウンドメディアを組み合わせた連携企画で多数の実績を持つ。トレンド分析を得意とし、バズよりも“共感を生む”発信戦略をテーマに活動中。SNS運用担当とWebディレクターの橋渡し役として、現場のリアルな課題を発信している。