入社前に、不安になることはいろいろあります。
仕事についていけるだろうか。
ちゃんと役に立てるだろうか。
怒られたらどうしよう。
中でもよく聞くのが、「コメントをどう受け取ればいいか分からない」という不安です。
ダメ出しされたら落ち込むかもしれない。
厳しい言い方をされたら、自分が否定された気がするかもしれない。
ただ、先にひとつだけ伝えておきたいことがあります。
コメントは、そのまま受け取らなくていい。
これは、反抗していいという意味でも、聞き流していいという意味でもありません。
仕事のコメントには、言葉そのものとは別に、背景や前提、状況が含まれています。
それを少しだけ横に置いて考えられるようになると、仕事は思っているより重くなりません。
この回は、入社前の人に向けた「先輩からひとつだけ」の話です。
全部覚えなくていい。
深く考えすぎなくていい。
読み終わったときに、「まあ、いっか」と思えたら、それで十分です。
コメントは 正確に渡すための言葉じゃない
仕事の現場で出てくるコメントは、必ずしも整理された状態で渡されるものではありません。
「ここ、ちょっと違うかも」
「なんとなく気になる」
「もう少し分かりやすくできそう」
こうした言葉は、完成された指示というより、途中の感想に近いことが多くあります。
判断が固まりきっていない段階で、違和感だけが先に言葉になる。
現場では、そういう場面がよくあります。
入社前の人ほど、このコメントをそのまま受け取ろうとします。
違うと言われたなら、自分が間違えた。
分かりにくいと言われたなら、説明が足りなかった。
そう考えるのは自然です。
でも、コメントの多くは「ここがダメ」という断定ではありません。
「このまま進むと、どこかで詰まりそう」という予感だったり、「今の方向だと、別の人が困りそう」という気配だったりします。
それを全部、受け取る側が正確な言葉に変換しようとすると、しんどくなります。
何が正解なのか分からないまま、直し続けることになるからです。
コメントは、考えるための材料として置かれていることが多い。
そう考えると、少し距離が取れます。
言葉の強さよりも、どんな状況で出てきたコメントなのかを見る。
それだけで、受け止め方は変わります。
そのまま受け取らなくていい、という意味
「そのまま受け取らなくていい」というのは、コメントを無視していいという話ではありません。
大事なのは、言葉を一度分解することです。
誰に向けて出たコメントなのか。
今の段階の話なのか、それとも最終判断なのか。
急いでいるから出た言葉なのか、時間をかけて考えた結果なのか。
こうした前提は、コメントの文面には書かれていません。
だからこそ、受け取る側が全部背負わなくていい。
入社前の人が、最初からそこまで読み取れる必要はありません。
むしろ、最初はそのまま受け取ってしまう方が普通です。
大切なのは、「全部そのまま信じなくてもいいんだ」と、どこかで知っておくことです。
コメントは、人の考えが途中で出てきたものです。
感情や焦りが混ざることもあります。
状況が変われば、言っていることが変わることもあります。
それを「仕事の現実」として受け止められるようになると、少し楽になります。
コメントに振り回されない、というより、飲み込まれなくなる。
それくらいの距離感でちょうどいい。
コラム|分からないまま 受け止めていた頃の話
入社して間もない頃、コメントを受け取るのがとにかく怖かった時期がありました。
修正が入るたびに、自分の考えが否定されたように感じていました。
特に印象に残っているのは、理由がはっきりしない修正が続いたときです。
「ここは違うと思う」
「この表現は避けたい」
なぜ違うのか、なぜ避けたいのかが分からない。
聞き返す勇気もなく、言われた通りに直しては、また戻される。
その繰り返しでした。
当時の僕は、コメントをすべて正解だと思い込んでいました。
直される=間違い。
そういう構図で受け止めていたと思います。
あるとき、先輩がぽろっと言った一言がきっかけで、見方が変わりました。
「これ、まだ決まりきってないから」
その一言で、いろいろなことが腑に落ちました。
コメントは、完成した答えではなく、途中の判断だった。
だから揺れるし、変わるし、曖昧だった。
それに気づいてから、コメントを見るときの視点が変わりました。
正解を探すのではなく、今どこで迷っているのかを見る。
その迷いを一緒に整理するつもりで、直す。
そうすると、不思議と気持ちが軽くなりました。
全部理解できなくてもいい。
今はこのくらいでいい、と思えるようになりました。
今なら こう受け取ると思う
今、同じようなコメントを受け取ったら、たぶん少し違う受け止め方をすると思います。
まず、言葉をそのまま飲み込まない。
一度、横に置きます。
このコメントは、何を守ろうとして出てきたのか。
誰のための判断なのか。
今の段階で必要な修正なのか。
全部分からなくても構いません。
分かりそうなところだけ拾えばいい。
仕事を続けていくと、コメントの背景が少しずつ見えるようになります。
でも、それは入社前や入社直後にできることではありません。
だから、最初はできなくていい。
大事なのは、コメントを自分そのものと結びつけすぎないことです。
仕事のコメントは、仕事の話です。
人格の評価ではありません。
もし、受け止めきれないと感じたら、いったん距離を取ってもいい。
「今は分からない」と思ったまま、直してもいい。
それでも仕事は進みます。
入社前の人に伝えたいのは、それだけです。
完璧に受け止めなくていい。
正しく理解しきれなくていい。
まあ、いっか。
そのくらいで、ちょうどいい時期があります。
まとめ
コメントは、そのまま受け取らなくていい。
これは、仕事を雑にやるための言葉ではありません。
言葉の裏にある状況を、少しだけ意識する。
全部を背負わない。
分からないままでも、進めていい。
入社前に覚えておくことがあるとしたら、それくらいです。
あとは、現場に入ってから少しずつ分かっていけばいい。
最初からうまくやろうとしなくて大丈夫です。
コメントに全部応えられなくても、大丈夫です。
まあ、いっか。
そう思える余白があった方が、仕事は長く続きます。

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