新人の頃 知りたかった社会人の悩み方

がんばり方が 分からなくなった時期の話

新人の頃、
「がんばれ」と言われることは多いのに、
「どうがんばればいいか」を教えてもらえることは、あまりありませんでした。

とりあえず早く来る。
頼まれたことは断らない。
できるだけ期待に応える。

最初のうちは、それで何とかなっていた気がします。
でも、ある時期から急に、手応えがなくなりました。
忙しいのに、前に進んでいる感じがしない。
がんばっているはずなのに、評価されている実感もない。

一番困ったのは、「自分はちゃんとがんばっているのか」が分からなくなったことでした。
サボっているわけでもない。
手を抜いているつもりもない。
それでも、「この方向で合っているのか?」という不安が、ずっと頭の片隅に残っていました。

今振り返ると、あの時期に一番欲しかったのは、
がんばる方法ではなく、
「悩み方」だった気がします。

がんばっているのに うまくいかない感じ

その頃の私は、典型的な「がんばっている新人」でした。
仕事量は多く、残業もしていて、頼まれごとも断らない。
それなりに信頼もされていたと思います。

ただ、何かが噛み合っていませんでした。
仕事が終わった後に残るのは、達成感よりも疲労感。
次の日も同じことの繰り返しで、成長している実感が薄れていきました。

今思えば、がんばり方が「量」に寄りすぎていました。
時間を使う。
手数を増やす。
とにかく動く。

それ自体が悪いわけではありません。
ただ、そのがんばりが、どこに向かっているのかを、あまり考えていなかったのです。

「忙しい=がんばっている」
この式を、疑っていませんでした。

困っているのに 困っていると言えなかった

一番しんどかったのは、困っているのに、それを言葉にできなかったことでした。
具体的に何が分からないのか。
どこで詰まっているのか。
自分でも整理できていなかったのです。

だから、誰かに相談することもできませんでした。
「何が分からないの?」と聞かれたら、答えられない。
結果として、「まあ大丈夫です」と言ってしまう。

今考えると、かなり危ない状態でした。
困っているのに、助けを求められない。
がんばっているのに、報われない。

この状態が続くと、
「自分のがんばり方が悪いんじゃないか」
という方向に、思考が向かっていきます。

きっかけは ちょっとした一言

転機になったのは、ある先輩との雑談でした。
仕事の相談というより、愚痴に近い話だったと思います。

その中で言われたのが、
「それ、がんばりすぎじゃなくて、がんばる向きが分からなくなってるだけじゃない?」
という一言でした。

最初は、ピンときませんでした。
でも、その言葉をきっかけに、自分の状況を少し客観的に見られるようになりました。

私は、
「何を増やせばいいか」ばかり考えていて、
「何を見直せばいいか」を考えていなかったのだと気づいたのです。

がんばりを「構造」で見直す

そこから、がんばり方を少しずつ整理するようになりました。
仕事の内容を、感覚ではなく、構造で見るようにしたのです。

この作業は、誰の判断につながっているのか。
このタスクは、全体のどこに位置しているのか。
自分が時間を使っている部分は、本当に重要なのか。

そうやって整理してみると、
「がんばっているつもりだった部分」が、
実はあまり意味を持っていなかったことに気づきました。

逆に、
ちゃんと向き合ったほうがいいのに、
後回しにしていた部分も見えてきました。

このとき初めて、
がんばることは「増やす」ことだけじゃない、
という感覚を持てた気がします。

がんばれない時期は ダメな時期じゃない

今なら、はっきり言えます。
がんばり方が分からなくなった時期は、ダメな時期ではありませんでした。

むしろ、
これまでのやり方が通用しなくなったサインであり、
次の段階に進むための節目だったのだと思います。

新人の頃に戻れるなら、あの時の自分にこう言いたいです。
「がんばれなくなったんじゃない。考え直す時期に入っただけだよ」と。

新人の頃 知りたかった悩み方

新人の頃に知っておきたかったのは、
正しいがんばり方ではありませんでした。

困ったときに、
「何が分からないのか分からない」と言っていいこと。
一度立ち止まって、がんばりの向きを見直していいこと。
量を減らすことも、ちゃんとした選択肢だということ。

悩むこと自体が、成長の証拠だということ。

もし今、
「自分、ちゃんとがんばれているのかな」と感じている人がいたら、
それは多分、もう一段階上のフェーズに来ているサインです。

がんばり方が分からなくなった時期は、
がんばらなくていい時期ではありません。
がんばり方を考え直す時期です。

それを知っているだけで、
少し気持ちが楽になるなら、
あの頃の自分も、報われる気がします。

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投稿者

出口 夕紀
出口 夕紀
大規模案件のPMを長く務め、制作・開発・運用を横断して進行を設計してきた。
全体の流れを読み取り、役割と優先順位を整える調整力が強み。
チームが動きやすい“土台づくり”を担うプロジェクトマネージャー。