Webの仕事をしていると つい考えてしまうこと

トラブルの話を聞くと まず原因を想像してしまう

「昨日ちょっとトラブルあってさ。」
この一言を聞いた瞬間、僕の頭は勝手に動き出します。
内容をまだ聞いていないのに、もう整理を始めています。
誰が関わっていたのか。
どの段階でズレたのか。
認識の違いか、確認不足か、それとも前提の食い違いか。
話の続きより先に、原因の候補がいくつか浮かびます。

これ、性格の問題ではないと思っています。
Webの仕事をしていると、トラブルを何度も見ます。
派手に炎上するものもあれば、静かに修正されるものもある。
でもそのほとんどは、いきなり爆発したわけではなく、小さなズレの積み重ねです。
指示が曖昧だったとか、前提が共有されていなかったとか、確認が一回抜けていたとか。
何度も同じようなパターンを見ているうちに、耳が反応するようになります。

だから、誰かが「ちょっと揉めてさ」と言った瞬間に、感情より先に構造を考えてしまう。
共感しないわけじゃないんです。
むしろ共感しているからこそ、「どこで詰まったんやろ」と思ってしまう。
この癖、日常にまで染み出しています。
完全に職業病です。

あるあるはひとつだけです。
「人のミスの話を聞くと、つい裏側の流れを想像してしまう。」
今日はこれだけです。

友達が「上司に怒られてさ」と言った瞬間、僕の頭の中ではもうフローチャートが描かれています。
その前のやり取りは。
指示は文書だったのか口頭だったのか。
締切は共有されていたのか。
レビューはあったのか。
本人は何をゴールだと思っていたのか。
怒った上司はどこに焦っていたのか。
いや、頼まれてないんですけどね。
勝手に考えてしまうんです。

これが現場だと、もっと顕著になります。
「昨日ちょっと仕様漏れがあって。」
と聞いただけで、まず思うのは「誰が悪い」ではありません。
仕様はどこで決まった。
議事録は残っている。
更新履歴は追える。
承認は誰が出した。
確認タイミングはどこだった。
こういうチェックが、ほぼ無意識に始まります。

昔はもっと単純でした。
「ああ、大変やなあ」で終わっていました。
でも今は違います。
「ああ、大変やなあ」と思いながらも、「たぶんあそこやな」と同時に考えています。
これ、性格が悪くなったわけではないと思っています。
単に、トラブルの形を何度も見てきただけです。

Webの現場って、トラブルが派手に見えるわりに、原因は地味なことが多いです。
言葉のすれ違い。
認識の差。
更新漏れ。
想定外ではなく、想定していなかっただけ。
だからこそ、話を聞いた瞬間に「このパターンかもしれない」と思ってしまいます。

面白いのは、日常にもそれが出ることです。
電車が遅れていると聞けば、まず「どこで詰まったんやろ」と考えます。
レストランで料理が遅いと、「オーダー通ってない可能性あるな」と推測します。
友達が恋愛で揉めたと聞けば、「コミュニケーションの頻度落ちてた?」と聞きたくなります。
完全に余計なお世話です。
でも、原因を構造で考える癖がついている。

この癖、良い面もあります。
感情だけで判断しなくなります。
「誰が悪い」より先に「どこでズレた」を考えられる。
だから現場では役に立つことが多いです。
ただ、プライベートでやりすぎると嫌われます。
実際、家族から「分析しなくていい」と言われたことがあります。
その通りです。
全部を構造で分解しなくていいんです。

それでも、どうしても想像してしまいます。
トラブルは突然起きたように見えて、たいていは小さなズレの積み重ねです。
その積み重ねを、現場では何度も見ています。
だから、話を聞いた瞬間に「きっとあのあたりやろな」と思ってしまう。

Webの仕事をしている人は、たぶん同じです。
ニュースを見ても、「これレビュー体制どうなってたんやろ」と思う。
炎上案件を見ても、「最初の判断どこやったんやろ」と考える。
無意識のうちに、原因を追っています。

これは、誤解されやすい部分でもあります。
冷たいわけではない。
共感していないわけでもない。
ただ、トラブルを“物語”ではなく“構造”で見てしまうだけです。
それが日常にまで染み出しているだけです。

最近は、少しだけ意識して止めるようにしています。
まずは話を最後まで聞く。
原因を言わない。
「大変やったな」とだけ言う。
これ、地味に難しいです。
でも大事です。

それでもたまに、どうしても言いたくなります。
「それ、最初の段階で一回確認できたかもな」と。
でもぐっと飲み込みます。
求められていない分析は、ただのノイズです。

トラブルの話を聞くと、まず原因を想像してしまう。
これはもう、簡単には抜けない癖です。
でも、現場で何度も踏ん張ってきた証拠でもあります。

全部を分析しなくていい場面もあります。
ただ話を聞けばいいときもあります。
それでも頭のどこかでは構造を追ってしまう。

たぶんこの先も、完全には止まりません。
でもそれで誰かの仕事が少し楽になるなら、悪くない癖かもしれません。

そうやって今日も、つい裏側を想像してしまうわけです。

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投稿者

西田 悠
西田 悠
元インハウスディレクター。制作現場で実際に走り回った経験をもとに、リアルな“現場視点”で記事を執筆。現場調整やクライアント対応、トラブル対応など、泥臭い部分も含めてディレクションの「本音」を語るのが持ち味。