Webの仕事をしていると つい考えてしまうこと

街の看板を見ると 余白と文字組みを見てしまう

Webの仕事をしていると、つい考えてしまうことがあります。
別に仕事じゃないのに、完全にオフの日なのに、勝手に目が動いてしまうやつです。

例えば、街の看板。
駅前の広告。
コンビニのポスター。
ラーメン屋のメニュー。

普通の人は「美味しそう」とか「安い」とかを見るはずなのに、こちらは違います。
余白が気になる。
行間が気になる。
フォントの詰まり具合が気になる。

「この文字、もうちょい空けたいな。」
「そのセンター揃え、たぶん目が疲れるよ。」
誰にも頼まれていないのに、勝手に心の中で赤入れを始めます。

Webの現場って、画面の中の話だと思われがちです。
でも実際は、頭の中の“観察モード”がずっとオンになっています。
そしてそのモードは、日常にまで染み出してきます。

今日はそんな、ちょっと笑える職業病の話です。

スーパーのPOPで 行間を数えてしまう

スーパーの売り場で、ふと立ち止まることがあります。
値引きのPOPを見ているときです。

「本日限り!」「半額!」と書いてあるあの赤いやつ。
あれを見て、普通は値段を見るはずです。
でも、気づいたらこう考えています。

「フォントが太すぎて潰れてるな。」
「行間が詰まりすぎて読みづらいな。」
「その強調、逆に目が滑ってるよ。」

もはや買い物どころではありません。

特に気になるのが、余白です。
文字の周りに余白があると、急に安心します。
逆にギチギチに詰まっていると、なぜかこちらが苦しくなります。

これは完全にWebの影響です。
画面設計で余白の大事さを叩き込まれているから、街でも無意識に探してしまう。
余白があると、「整ってるな」と思う。
ないと、「惜しいな」と思う。

誰も頼んでいないのに、勝手に心の中でUIレビューをしている。
買い物のはずなのに、完全に観察モードです。

カフェの黒板で 文字組みを直したくなる

カフェの前にある黒板。
手書きのメニュー。
あれはだいぶ危険です。

まず見るのは内容ではありません。
文字のバランスです。

タイトルだけ異様に大きい。
行の長さがバラバラ。
右端が揃っていない。
なぜか一行だけ詰まりすぎている。

「ここ、改行位置変えたらもっと読みやすいのに。」
「このカタカナ、ほんの少しだけ字間広げたい。」
そんなことを考えながら、コーヒーを待っています。

Webで文字組みを触っていると、視線の流れが気になります。
どこから読ませたいのか。
どこで止めたいのか。
強調は機能しているか。

黒板の文字も、同じように見えてしまいます。

友人に「何見てるの?」と聞かれて、「文字組み」と答えると、だいたい変な顔をされます。
でもこれ、本当に無意識です。
目が勝手に分析してしまう。

もう完全に職業病です。

駅の広告で 情報の優先順位を考えてしまう

駅構内の大型広告も、かなり危険ゾーンです。
情報量が多いものほど、脳内レビューが始まります。

「一番伝えたいの、どれ?」
「そのキャッチ、視認性ちょっと弱いな。」
「この写真と文字、ケンカしてるな。」

情報の優先順位が気になるのです。

Webの画面設計では、ファーストビューが命です。
どこを最初に見せるか。
どこで興味を持たせるか。
その感覚が、広告にも適用されてしまいます。

人は一瞬で全部を読めません。
だから強弱をつける。
その設計がうまいと、駅のホームでも「おお」となります。
逆に全部同じテンションだと、「もったいないな」と思います。

別に広告会社の人でもないのに、勝手に反省会を始める。
電車を待ちながら、完全に思考は仕事モードです。

ラーメン屋の券売機で UIを考える

ラーメン屋の券売機。
あれも観察対象です。

ボタンが多すぎる。
どれが人気なのか分かりにくい。
写真が小さい。
価格の強調が足りない。

もう完全にUIの話です。

「これ、階層分けたらスッキリするのに。」
「おすすめだけ色変えればいいのに。」
そう思いながら、味玉を追加しています。

Webで情報設計をしていると、現実の案内板やメニューも同じ構造に見えてきます。
導線がある。
優先順位がある。
迷いポイントがある。

もはや街全体が、巨大なUIです。

それでも やめられない観察モード

この思考パターン、正直ちょっと面倒です。
普通に街を歩きたい日もあります。

でも、完全にオフにするのは難しい。
一度身についた観察モードは、なかなか消えません。

ただ、悪いことばかりでもありません。
街でうまくいっているデザインを見ると、素直に感動します。
余白がきれい。
文字組みが美しい。
視線が自然に流れる。

「あ、ちゃんと考えられてる。」
その瞬間、ちょっと嬉しくなります。

Webの仕事をしていると、日常が少しだけ立体的に見える。
裏側を想像する癖がつく。
それはたぶん、悪い職業病ではないです。

ただ、家族と買い物中に急に「この字間さ…」と語り出すと、だいたい止められます。
そこだけは、少し気をつけたいところです。

まとめ

Webの仕事をしていると、つい考えてしまうことがあります。
余白。
文字組み。
情報の優先順位。

画面の中の話のはずなのに、街でも同じことを考えている。
無意識の思考パターンが、日常にまで染み出している。

知られていないけれど、たぶん多くの人がやっています。
職業病といえば職業病。
でもちょっと笑えるやつです。

今日も街のどこかで、
誰にも頼まれていない赤入れが、心の中で行われています。

まあ、そういうもんです。

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投稿者

中村 海斗
中村 海斗
デザイナーからUXライターへ転身。構成と表現のバランス感覚に優れ、デザインの意図を“言葉”として翻訳することを得意とする。デザインとライティングの橋渡し役として、UIテキストや構成設計、トーン&マナーの整備を支援している。