年度末進行、だいたいここで詰まる

仕様、なんとなくで走らせていませんか?

年度末進行って、だいたい同じところで詰まります。
スケジュールでもありません。
リソースでもありません。

仕様です。

「まあ、この方向でいきましょう」
「大枠は合ってますよね」
「細かいところは後で詰めましょう」

この三つが揃ったとき、僕の中では黄色信号が点きます。

年度末はスピードが命です。
だから、なんとなく走らせたくなる。
分かります。
僕も何度もやりました。

でも、だいたい止まります。
そして止まる場所も、だいたい同じです。

今日はその話です。
面白く読める話の中に、たぶん今すぐ使える小さなチェックが混ざっています。
気づいたら使ってもらえれば十分です。

「大枠はOK」が一番あやしい

年度末でよく聞く言葉があります。
「大枠はOKです」

これ、危ないです。

大枠って何でしょう。
誰の中の大枠でしょう。
どこまでを含んでいるのでしょう。

ある案件で、こんなことがありました。
トップページの改修。
方向性は決まっていました。
デザインも、ほぼOK。

でも公開直前で止まりました。
理由は、更新フローの認識違いです。

編集担当は「ここは毎週触る」と思っていました。
開発側は「ここは固定」と思っていました。
仕様書には、どちらも書いていませんでした。

大枠は合っていたんです。
でも、触る前提が違った。

それだけで止まります。

それ以来、僕は「大枠OK」と言われたら、5分だけ使うことにしています。
仕様の核心を、三つだけ確認します。

誰が触るのか。
いつ触るのか。
どこまで触るのか。

これだけです。

全部を書き直すわけではありません。
口頭で揃えるだけでもいい。

年度末は、これをやるかやらないかで、だいぶ違います。

「後で詰める」は、だいたい今詰める

もう一つのあるあるが、「細かいところは後で詰めましょう」です。

これも分かります。
今は時間がない。
とにかく前に進めたい。

でも、後で詰めるものは、だいたい今詰めるものです。

後になると、関係者が増えます。
公開日が近づきます。
修正コストが上がります。

あるとき、入力フォームの文言を後回しにしました。
動きが優先だったからです。

結果、公開前日に文言修正が入りました。
文言自体は小さい変更です。
でも、表示幅が変わり、デザインが崩れ、確認が一往復増えました。

その日、僕は静かに思いました。
これ、5分で防げたな、と。

それ以来、「後で詰める」と言われたら、僕は一つだけ質問します。
「それ、5分で今決められませんか」と。

全部は決めません。
でも、今決められることは今決める。

年度末は特に、この差が大きいです。

仕様が曖昧なまま走る瞬間

年度末の詰まりポイントは、仕様が曖昧なまま走る瞬間です。

会議では盛り上がります。
スケジュールも引きます。
みんな前向きです。

でも、仕様書が薄い。

そのとき僕は、いったん立ち止まります。
ほんの5分でいい。

仕様が曖昧かどうかを判断するチェックがあります。
難しいことではありません。

その仕様を第三者に説明できるか。
図にできるか。
YesとNoで答えられるか。

この三つを自分の中で試します。

できなければ、どこかが曖昧です。

これ、声に出さなくてもいい。
自分の中でやるだけでも十分です。

仕様が固いと、実装は速い。
仕様がふわっとしていると、実装は止まる。

年度末は特に、この差が露骨に出ます。

Yes/Noで止まったときの、そのあとの話

YesかNoで答えられないとき、僕は仕様書を直し始めたりはしません。
まずやるのは、確認の順番を変えることです。

年度末の案件で、こんなことがありました。
「この機能は今期中に必須ですか」という問いに、誰も即答できませんでした。

必須っぽい。
でも絶対とは言い切れない。

その瞬間、僕は実装の話を止めました。
代わりに、判断の話に戻しました。

「今期中に出さないと困る人は誰ですか」と聞きました。
「困る」が具体になったら続ける。
ならなければ止める。

結果、その機能は今期対象から外れました。
削ったというより、整理しただけです。

実装の議論は10分止まりました。
でも、そのあとの2週間は止まりませんでした。

曖昧な仕様は、実装で止まります。
でも曖昧なまま走らせると、止まる場所が後ろにずれます。

年度末は、その“後ろの停止”が一番重い。

だから僕は、Yes/Noで止まったら、その場で一つだけ質問を変えます。
仕様の話から、判断の話に戻す。

それだけで、だいたい空気が変わります。

止めるのは勇気ではなく、習慣

仕様を止めるのは勇気だと思われがちです。
でも実際は、習慣です。

「ちょっと待ってください」と言うのが特別ではなくなると、楽になります。

僕も最初は言いにくかったです。
空気を止める気がしたからです。

でも、何度か止めてみて分かりました。
止めないほうが、あとで大きく止まります。

だから今は、5分だけ使います。
誰が触るか。
いつ触るか。
どこまで触るか。

説明できるか。
図にできるか。
YesかNoで答えられるか。

これを頭の中で回すだけです。

記事として読むと小さな話です。
でも年度末は、だいたいここで詰まります。

仕様をなんとなくで走らせない。
それだけで、流れはかなり変わります。

面白い話というより、季節のあるあるです。
でも今なら、まだ間に合います。

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投稿者

林 颯真
林 颯真
フロント寄りの技術に強いテクニカルディレクター。
実装やCMSの仕組みを、現場視点でわかりやすく翻訳するのが得意。
エンジニアとチームの橋渡し役として、実務の整理に力を発揮する。