Webディレクターって、だいたいこんな感じ

炎上案件火消部隊の“なんでやねん”ベスト3

Webディレクターって、だいたいこんな感じやと思ってます。

僕は関西で働いていた、わりと早い段階から「巻き取り業務」のポジションを任されることが多かったです。
プロジェクトがちょっと危うくなったときに、「西田くん、ちょっと見てくれる?」って呼ばれるやつです。
だいたい“ちょっと”では済まないやつです。

炎上案件って、真っ赤に燃えてるというより、くすぶってることのほうが多いんですよね。
誰も悪気はない。
でも、なんかズレてる。
なんか積もってる。
なんか増えてる。

で、現場に入った瞬間、思わず出るんです。
「なんでやねん。」

今日は、そんな“なんでやねん”をベスト3でいきます。
あとになって思えば笑えるけど、その瞬間は笑えないやつです。
でも、ちゃんと構造を見れば止められるやつでもあります。

第3位:決定者が“霧”になっている

巻き取りで一番多いのがこれです。
決定者が誰かわからない。

資料上は「クライアント最終確認」。
チャット上は「一旦チームで持ち帰ります」。
会議では「方向性はこれでいいと思います」。

いいと思うって誰がやねん、って話です。

修正は出る。
でも、GOは出ない。
仕様は固まらない。
スケジュールは削れていく。

僕が現場に入ったとき、最初にやるのは“犯人探し”ではありません。
決定者探しです。

ある案件では、表向きの窓口はAさんでした。
でも実際に最終判断をしていたのは、その上司のBさんでした。
ただ、Bさんは会議に出てこない。
Aさんは「確認します」と言う。
でも確認結果は抽象的。

これ、炎上の入り口です。

その時、僕はこう言いました。
「これ、最終OK出すの誰なんですか?」
ちょっと笑いながら。

場が一瞬止まります。
でも、その一瞬が大事です。

結果、Bさんを月1定例に同席してもらうことになりました。
それだけで、修正の往復が半分以下になりました。

今すぐできる一手はシンプルです。
「最終判断者はどなたですか?」を、会議の冒頭で確認すること。
曖昧な空気を、そのまま流さないこと。

なんでやねん、はだいたい“誰が決めるか”の霧から始まります。

第2位:軽い修正が雪だるま化している

「これ、軽微な修正なんで。」
この言葉、何度聞いたかわかりません。

軽微って、どの目線の軽微やねん。

ボタン文言の変更。
レイアウトの微調整。
導線の追加。
画像の差し替え。
そのついでに文言も。
そのついでにトーンも。

気づけば仕様書が別物になっている。

ある案件で、修正依頼が1週間で38件溜まっていました。
どれも単体で見ると小さい。
でも、全部合わせると再設計レベル。

現場のメンバーは真面目なんです。
全部やろうとする。
でも時間は増えない。

僕はそこで、一度ホワイトボードに全部書き出しました。
そして言いました。
「これ、今やるやつと、今やらんでええやつ、分けません?」

関西弁がちょっと出ました。
でも、空気は柔らかくなりました。

結果、今やるのは12件。
残りは次フェーズに送る。
それだけで、炎上は鎮火方向に向かいました。

今すぐできる一手は、修正依頼を“リスト化して優先順位を明示する”こと。
頭の中に置いたままにしない。
軽微を軽微のまま放置しない。

軽いはずのものほど、積もると重いです。
なんでやねん、はだいたい積み上げの放置から来ます。

第1位:誰も悪くないのに、みんな疲れている

これが一番やっかいです。

怒鳴っている人はいない。
責任逃れもしていない。
でも、全員ちょっとイラついている。

理由を追うと、だいたいこうです。
情報の流れがぐちゃぐちゃ。

Slackで修正依頼。
メールで補足。
口頭で追加。
ドキュメントには反映されていない。

「それ聞いてないです。」
「共有したはずです。」
「最新版どれですか。」

なんでやねんの応酬です。

巻き取りで僕がまずやるのは、情報の“交通整理”です。
連絡手段を絞る。
最新版を固定する。
議事録を必ず1本にまとめる。

ある案件では、「全修正はこのスプレッドシートのみで管理します」と宣言しました。
他ルートは無効。
最初は少し抵抗がありました。
でも、3日で空気が変わりました。

人は悪くない。
流れが悪いだけ。

今すぐできる一手は、「情報の入口を1つにする」と宣言すること。
シンプルですが、効果は大きいです。

炎上案件って、だいたいこんな感じ

巻き取り業務をやっていると、炎上って特別な出来事じゃないとわかります。
小さなズレの連鎖です。

誰もサボっていない。
誰も無能じゃない。
でも、構造がゆがむと燃えます。

僕はよく、「なんでやねん」と心の中でツッコミます。
でも同時に、「まあ、こうなるよな」とも思っています。

Webディレクターって、たぶんこういう人種です。
ズレを見つける。
流れを整える。
空気を読む。
そして、ちょっと笑いながら修正する。

炎上案件の火消しって、ヒーロー業じゃないです。
地味です。
でも、ちょっと面白い。

もし今、くすぶっている案件があるなら。
まずは「誰が決めるか」「何を今やるか」「どこで管理するか」。
この3つを整えてみてください。

ディレクターの血が騒ぐわけじゃないですが、
だいたいそれで半分は止まります。

残り半分は、まあ。
また“なんでやねん”って言いながら、やりましょう。

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投稿者

西田 悠
西田 悠
元インハウスディレクター。制作現場で実際に走り回った経験をもとに、リアルな“現場視点”で記事を執筆。現場調整やクライアント対応、トラブル対応など、泥臭い部分も含めてディレクションの「本音」を語るのが持ち味。