Webディレクターって、だいたいこんな感じです。
会議が終わって席に戻り、資料を閉じた瞬間にふと思うんです。
……で、結局誰が決めるんだっけ。
もちろん口には出しません。
出したら空気が変わるとわかっているからです。
会議は穏やかでした。
みんな前向きでした。
「方向性はこれでいきましょう」とも言いました。
誰も反対していません。
でも、なぜか数日後に止まる。
この経験、ありませんか。
私は何度もあります。
そしてそのたびに、ああ、あれだなと思います。
決める人が見えていなかったな、と。
今日はそんな話です。
言いたくなるけど言えない一言。
そして、言わなくても済むように私がやっている小さな工夫について。
みんな賛成しているのに、なぜか進まない
よくある光景です。
「この方向でいいと思います」
「問題ないですね」
「じゃあそれで」
場はまとまっています。
対立もありません。
雰囲気も悪くない。
でも数日後、こうなります。
「それ、最終承認でしたっけ?」
「その話、まだ聞いていません」
誰も悪くありません。
ただ、決定の線が引かれていなかっただけです。
反対がないことと、決まっていることは別。
ここが曖昧なまま進むと、ほぼ止まります。
でも、ここで真正面から言うのは難しい。
「誰が決めるんですか」と会議中に言うのは、
わりと強いボールです。
特に社内政治が絡む案件や、
部門をまたぐプロジェクトではなおさらです。
この人に責任を押し付けているように見えないか。
この部署に踏み込みすぎていないか。
会社員として迎合しなきゃいけない瞬間って、ありますよね。
私はPMですが、全権を持っているわけではありません。
だからこそ、言い方とタイミングにはかなり気を遣います。
迎合と進行の間でバランスを取る
若い頃は、ここでイライラしていました。
なんで最初に決めないんだろう。
なんで責任をはっきりさせないんだろう。
でも今は、少し考え方が変わりました。
決められないのには理由がある。
立場や関係性や、言いづらさがある。
だから私は、会議の最後にこう言います。
「この件、最終判断は〇〇さんという理解で進めますね」
確認のトーンです。
断定ではありません。
「問題なければ、この前提で動きますね」と続けることもあります。
強くない。
でも、曖昧でもない。
この一言を入れるだけで、止まりにくくなります。
もしその場で言いづらいときは、会議後に個別で聞きます。
「今回の最終承認って、どなたになりますか?」
一対一なら角は立ちません。
公開の場で言うより、ずっと穏やかです。
迎合と言えば迎合かもしれません。
でも私は、きれいさより進行を選びます。
止まらないことのほうが、全員にとって優しいからです。
ディレクターの延長でPMをやるようになってから
ディレクターの延長でPMをやるようになってから、
この感覚はさらに強くなりました。
Webディレクターの頃は、
目の前の制作とスケジュールで手一杯でした。
でもPMとして全体像を見るようになると、
止まるポイントが見えるようになります。
だいたい止まるのは、決定の線が曖昧なところです。
誰が最終責任か。
誰が実行か。
誰に相談すべきか。
これが曖昧なまま進むと、
後から必ず揺り戻しが来ます。
だから私は、議事録の一番下に必ず書きます。
最終責任:〇〇
実行:〇〇
共有:〇〇
難しい理論は出しません。
ただ名前を書くだけです。
これを入れるようになってから、
進行の安定感が上がりました。
劇的ではありません。
でも、確実に違います。
プロジェクトマネージャーって、
決定者が見えないと落ち着かない生き物なんだと思います。
プライベートでも同じことをしている
これ、仕事だけではありません。
友人との旅行計画。
「どこでもいいよ」
「任せるよ」
「私はなんでも」
で、誰が決めるの。
心の中でまた言っています。
以前は全部引き受けていました。
じゃあ私が決めるね、と。
でもそれだと、あとで微妙な空気になることがあります。
「それもいいけど、こっちもよかったね」
だから最近はこう言います。
「じゃあ今回は私が決めるね。次は〇〇担当で」
役割を置くだけです。
それだけで、空気が安定します。
決める人がいると、人は安心する。
これ、現場とまったく同じだなと思います。
言いたくなる一言の、その先に
今でも会議のあと、思います。
で、結局誰が決めるんだっけ。
でも最近は、その一言を飲み込んだあと、
代わりに何を置くかを考えます。
確認の一言。
期限の明示。
進行前提の共有。
たとえば、こんな文章をそのまま使っています。
「本件は〇〇さん最終判断で、〇日までに確定予定という理解で進めます。問題なければこの前提で動きますね。」
強くありません。
でも、止まりにくい。
正論だけでは現場は回りません。
迎合だけでも止まります。
その間で、小さく整える。
Webディレクターって、だいたいこうやって悩みます。
そしてPMになると、その悩みが構造に見えてきます。
派手な改革はいりません。
誰かを責める必要もありません。
ただ、決定の線を一本引く。
それだけで、現場は少し軽くなります。
まあ、そういうもんですよね。
でも今日の会議、
ひとつだけ試せることはあるはずです。
「最終判断は〇〇さんでよろしいですよね」
その一言が言いづらいなら、
議事録の一番下に、そっと名前を書く。
それだけでも十分です。
プロジェクトマネージャーって、
だいたいそんなことを考えている人種です。
そしてたぶん、
あなたももう、その一歩手前にいます。

300300-150x150.png)



