通勤電車の中で、つい広告を見てしまいます。
別に見たくて見ているわけではないのに、目に入ってしまうのです。
動画広告のテロップが少し窮屈だったり、駅貼りポスターの余白が妙に落ち着かなかったり。
喫茶店の手書きメニューを見て、「この行、もう少しだけ文字間をあけたら読みやすいのに」と思ってしまったり。
休日なのに。
完全にプライベートなのに。
でも、考えてしまうんですよね。
「なぜこのデザインでOKが出たんだろう」と。
僕はたぶん、そういう人種です。
そしてきっと、これを読んでいるあなたも、わりと近いタイプだと思っています。
Webディレクターって、だいたいこんな感じです。
仕事と日常の境目が、あまりはっきりしていない。
今回は、そんな“つい考えてしまう癖”の話をします。
あるあるを笑いながら、でも最後には明日ちょっと使える一手も持ち帰ってもらえたら嬉しいです。
休日の広告が、教材になる
休日のショッピングモールで、ふと大型ビジョンを見上げます。
派手な動画広告が流れていて、音楽もキャッチーで、コピーも強い。
でも、どこか引っかかる。
テロップの改行位置が、少しだけ不自然。
人物の視線の先に、余白が足りない。
情報量が多すぎて、視線が迷子になる。
「いや、別に自分が直すわけじゃないんだけど」と思いながら、頭の中で勝手にレイアウトを組み替えています。
Webディレクターって、だいたいこういう癖があります。
完成形を見ると、「どう作られたか」と同時に、「どう整えられたか」を想像してしまう。
たぶんこれは、仕事柄というより、構造を見る癖です。
デザインを“結果”としてではなく、“意図の集合”として見てしまう。
・なぜこの写真を選んだのか。
・なぜこの色なのか。
・なぜこの順番なのか。
この「なぜ」が止まらない。
でもこれ、悪い癖ではありません。
むしろ、ディレクターとしての資産です。
なぜなら、他人のアウトプットを観察できる人は、自分の案件でも「意図を揃える」ことができるからです。
今すぐできる一手があります。
広告やポスターを見たときに、頭の中でこう問いかけてみてください。
「このデザインのゴールは、一行で言うと何だろう?」
これだけです。
例えば、
「新規登録を増やす」
「季節限定感を出す」
「高級感を印象づける」
一行で言えないとき、そのデザインは前提が揃っていない可能性があります。
逆に、一行で言えて、しかも要素がそこに収束しているなら、それは強いデザインです。
観察は、訓練になります。
休日の広告は、無料の教材です。
喫茶店の手書きメニューが気になってしまう理由
喫茶店の黒板メニュー。
あれ、気になりませんか。
「本日のおすすめ」が太字で、
「自家製プリン」が少しだけ右に寄っていて、
価格の位置がバラバラで。
僕はつい、文字詰めを見てしまいます。
行間が詰まりすぎていないか。
強弱がついているか。
完全に職業病です。
でも、ここにも構造があります。
手書きメニューが読みにくいとき、多くの場合は「優先順位」が曖昧です。
全部を伝えようとしている。
全部を目立たせようとしている。
結果、どれも目立たない。
これはWebでも同じです。
トップページで、
・キャンペーンも
・新商品も
・ニュースも
・実績も
全部目立たせようとする。
すると、余白が戦場になります。
どこに視線を置けばいいのか、わからなくなる。
今すぐできる一手は、シンプルです。
「いま一番読ませたいものは何か」を一つに絞る。
そして、その要素だけを“少しだけ大きく”する。
フォントサイズを2px上げる。
余白を4px増やす。
色を一段階濃くする。
劇的な変更はいりません。
小さな調整で、優先順位は伝わります。
喫茶店の黒板を見るたびに、
「これ、主役はどれだろう」と考えてみる。
それだけで、自分の案件の優先順位設計も、少しずつ整います。
「なぜOKが出たんだろう」は、責めるためじゃない
正直に言うと、「なぜこれでOKが出たんだろう」と思う瞬間はあります。
でも、ここで大事なのは、批判モードに入らないことです。
デザインには、必ず背景があります。
制約、時間、予算、体制、レビューの流れ。
僕たちは、それを知らない。
だからこそ、この問いは「責めるため」ではなく、「構造を想像するため」に使います。
・急いでいたのかもしれない。
・決裁者が別の観点を重視したのかもしれない。
・そもそもゴールが曖昧だったのかもしれない。
ここまで考えられると、視点が変わります。
自分の案件で、「なぜこうなったのか」を振り返るときも、感情ではなく構造で整理できる。
今すぐできる一手は、レビューのときにこれを言語化することです。
「今回のデザインのゴールは、〇〇という理解で合っていますか?」
この一文を入れるだけで、空気が整います。
前提が揃えば、議論はぶれません。
揃っていないと、どれだけ修正しても違和感が残ります。
僕たちは、修正する人ではなく、前提を揃える人です。
それでも、考えてしまう人種なんです
休日に考えてしまう。
街中の広告を見て、頭の中でレイアウトを組み直してしまう。
ちょっと面倒な人種かもしれません。
でも、それは悪いことではありません。
構造を見る癖がある。
意図を探す癖がある。
違和感を放置できない。
これは、ディレクターの資質です。
そして実は、この癖は「安心」にもつながります。
なぜなら、
考えている人は、止まらないからです。
なんとなくで流さない。
「まあいいか」で終わらせない。
Webディレクターって、だいたいこんな感じです。
ちょっと厄介で、
でもちょっと面白い。
もし今日、通勤中に広告を見かけたら、
一瞬だけ考えてみてください。
「このデザインの意図は何だろう?」
それが言えたら、あなたはもう十分、構造を見ています。
そしてその癖は、
きっとあなたの案件を、静かに強くしてくれます。
まだ間に合います。
今日からまた、整えていきましょう。

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