4月の現場って、ちょっと独特です。
Slackの通知が増える。
同じ説明を何回もする。
「これどうすればいいですか?」の質問が急に増える。
そして新人がPM志望だと、だいたいこう聞かれます。
「PMって、普段何してるんですか?」
この質問、実はけっこう難しいです。
仕様を書く人でもない。
デザインを作る人でもない。
コードを書く人でもない。
でも全部に関わっています。
だから新人から見ると、何をしている人なのかよくわからない。
私も1年目のとき、正直そう思っていました。
PMの先輩を見ていても、
「この人、さっきから会議してるだけじゃない?」
くらいにしか見えなかったんです。
でも今ならわかります。
PMの仕事の一つは、仕事の流れを止めないことです。
今日はその話です。
PM志望の新人が最初に理解しておくと楽になること。
そして、先輩側が少し準備しておくと4月がちょっと楽になる話を書きます。
目次
4月、質問が止まらない
4月の現場あるあるです。
Slackの通知が止まりません。
「このフォルダってどこですか?」
「この確認って誰に出せばいいですか?」
「この言葉ってどういう意味ですか?」
同じ説明を、同じ日だけで3回くらいします。
仕様書の場所。
案件フォルダのルール。
デザイン確認の流れ。
確認依頼の出し方。
チャットのメンション先。
新人にとっては全部が初めてです。
でも先輩にとっては、もう何年もやっている当たり前。
だからつい思ってしまうんですよね。
「それ、さっき説明したんだけどな。」
でも新人からすると、
「初めて聞いたくらいの勢いなんですが」です。
これ、どっちが悪いという話ではありません。
4月って、だいたいこうなります。
新人は「目の前の作業」を見ている
4月の質問の中で、先輩がちょっと答えに詰まりやすいものがあります。
「これって、なんで今確認するんですか?」
この質問、すごくいい質問です。
でもちゃんと答えようとすると、意外と難しい。
たとえば、デザイン確認。
新人の頃の私は、正直こう思っていました。
「このバナーの文言、まだ仮でもよくないですか?」
「この余白、あとで直してもよくないですか?」
「なんでここでそんなに急いで確認するんだろう。」
当時の私は、目の前のデザインしか見えていませんでした。
つまり「この画面が今きれいかどうか」の話をしていたんです。
先輩は「スケジュール」を見ている
でも先輩やPMが見ていたのは、そこではありませんでした。
そのデザインが今日中に固まらないと、
明日から開発が着手できない。
開発が着手できないと、
その後ろにある結合テストの日程がずれる。
テストがずれると、
公開前チェックの時間が減る。
公開前チェックの時間が減ると、
最終盤で「なんで今これ出るの」が発生する。
つまり先輩たちは、デザインの話をしているようで、
実際には開発スケジュールの話をしていました。
会議ではこんな言葉が飛びます。
「このデザイン、今日FIXしたいです。」
「この導線、先に固めたいです。」
「ここ、確認だけ先にもらえますか。」
新人の耳にはこう聞こえます。
「そんなに急ぐ?」
「細かくない?」
「あとでもよくない?」
新人の頃の私は思っていました。
「今日じゃなくてもよくないですか?」
そしてだいたい、
今日じゃないとダメでした。
会話が少し噛み合わない理由
ここで起きているのは、知識の差ではありません。
見ている場所の差です。
新人は「目の前の作業」を見ています。
先輩やPMは「全体の流れ」を見ています。
新人はデザインの完成度の話を聞いている。
先輩はスケジュールの話をしている。
同じ「確認」という言葉でも、意味が少し違うんです。
新人からすると、確認は作業です。
でもPMからすると、確認は進行管理です。
だから4月は質問が止まりません。
言葉は同じでも、見えているものが違うからです。
そしてこのズレがあるからこそ、
現場では同じ説明が何度も繰り返されます。
4月は少し大変です。
Slackも賑やかになります。
説明も増えます。
でもそれは、新人が仕事の全体像を理解しようとしている音でもあります。
だから私は、この質問ラッシュをわりと前向きに見ています。
質問が出る現場は、まだ健全です。
怖いのは、わからないまま黙って進むことです。
4月に増える「なんで?」は、
新人がタスクから流れへ視点を広げようとしているサインでもあるんです。
新人が入ると何が起きるのか
新人が現場に入ると、だいたい三つの差が生まれます。
知識の差。
用語の差。
仕事の見え方の差。
知識の差はわかりやすいです。
ツールの使い方。
案件フォルダの場所。
社内ルール。
これは説明すれば埋まります。
用語の差も同じです。
「ワイヤー」
「レビュー」
「FIX」
最初は意味がわからない。
でもこれは慣れれば覚えます。
問題は三つ目。
仕事の見え方の差です。
新人は目の前のタスクを見ています。
PMは流れを見ています。
制作。
開発。
テスト。
公開。
運用。
この流れのどこが詰まりそうか。
PMはそこを見ています。
新人はまだ、その地図を持っていません。
だから迷子になります。
これは新人が悪いわけでも、
先輩が悪いわけでもありません。
単純に、地図を持っているかどうかの差です。
だから先輩の準備が効く
新人教育というと、
「ちゃんと教えなきゃ」と思いがちです。
でも現場では、
先輩が少し準備しておくだけで楽になることが多いです。
私がよくやるのは、最初にこれを見せることです。
制作の流れ。
企画
↓
ワイヤー
↓
デザイン
↓
開発
↓
テスト
↓
公開
↓
運用
この流れを最初に説明します。
そしてこう言います。
「PMの仕事の一つは、この流れを止めないことです。」
新人の反応はだいたい同じです。
「あ、そういう仕事なんですね。」
ここでやっと、PMの仕事が見え始めます。
私は新人の頃、この説明を誰からも聞きませんでした。
なので最初の半年くらい、ずっと思っていました。
「なんで今それ聞くんだろう。」
「なんでそんな確認してるんだろう。」
全部、流れの話でした。
当時の私は、タスクしか見えていなかったんです。
だから新人には、最初に地図を渡します。
地図があると、迷子の時間が短くなります。
私が現場でやっている新人ケア
PM志望の新人が来たとき、
私はだいたい三つのことをやります。
① 会議の目的を説明する
新人は会議の意味がわかりません。
背景がわからないからです。
なので会議のあとにこう説明します。
「これは決定するための会議でした。」
「これは状況共有の会議でした。」
会議の種類がわかると、PMの視点が見えてきます。
② 詰まりやすい場所を先に教える
PMの仕事は、止まりそうな場所を見ることです。
たとえばこう言います。
「この案件、クライアント確認が一番止まりやすい。」
「ここで仕様変更が出ることが多い。」
新人はこの視点を持っていません。
だから先に見せる。
ここが詰まる。
ここが危ない。
これだけで視野がかなり広がります。
③ 質問しやすい空気を作る
新人は質問のタイミングで迷います。
忙しそう。
こんなこと聞いていいのかな。
だから私は最初に言います。
「PMの仕事の一つは、質問を集めることなんです。」
質問が出ない現場は、理解が進んでいない現場です。
Slackの通知が増えるのは、
むしろ正常な状態だと思っています。
今日からどうする?未来の自分が楽になる準備
4月の現場を少し楽にする準備。
そんなに難しくありません。
おすすめはこの三つです。
① 制作フローの地図を1枚作る
制作・開発・運用の流れを
1枚の図にしておく。
新人にとって、それが地図になります。
② よく聞かれる質問をまとめる
・フォルダの場所
・確認の順番
・相談先
これだけでも整理しておく。
同じ説明の回数が減ります。
③ PMの仕事を一言で説明する
新人にはこう言っています。
「PMの仕事の一つは、仕事の流れを止めないことです。」
これだけでかなり伝わります。
完璧な先輩になる必要はありません。
でも、ひとつ準備しておくだけで現場は変わります。
来月の自分が少し楽になる。
それくらいの気持ちで十分です。
PM志望の新人は、最初は必ず迷子になります。
でも地図があれば、
迷子の時間は短くなります。
その地図を少しだけ用意しておく。
それが、4月の現場をちょっと楽にする先輩の準備なのだと思います。

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