新人が相談しやすくなる先輩の一言
4月になると、現場の空気が少し変わります。
新人が入ってきて、席が増えて、Slackのメンバーが増える。
それだけで、チームの動き方が少し変わる。
そして先輩たちは、だいたい同じことを言います。
「分からないことあったら、いつでも聞いてね。」
私も言います。
でも、そのあと気づくんです。
意外と聞かれない。
もちろん質問は来ます。
でも、本当に困っていそうなタイミングでは来ないことが多い。
そして数日後、タスクが少しずれていたり、認識が違っていたりする。
「あれ、ここ聞いてくれればよかったのに」と思う。
新人が悪いわけではありません。
むしろ、だいたい先輩も同じことをしてきています。
今日はそんな、「相談しやすい空気ってどう作るのか」という話です。
4月の現場あるある。質問ラッシュの波
新人が入ると、だいたい最初の一週間はこんな感じになります。
Slackの通知が止まらない。
「これどうすればいいですか?」
「このファイルどこですか?」
「この言葉ってどういう意味ですか?」
質問が次々に飛んでくる。
最初は丁寧に答えます。
でもだんだん思うんです。
「これ昨日も説明したな。」
そしてまた説明する。
また説明する。
また説明する。
「この説明、ドキュメントにしたほうがいいかも」と思いながら、また口で説明する。
一方で、不思議なことも起きます。
本当に困っていそうなタイミングでは、質問が来ない。
あとで聞くと、
「忙しそうだったので聞けませんでした。」
「自分で調べたほうがいいと思って。」
新人は遠慮しています。
先輩は「聞いてほしい」と思っている。
このズレ、4月の現場ではよく起きます。
新人が入ると、何が起きているのか
ここで一度、整理しておきたいことがあります。
先輩が悪いわけでも、新人が悪いわけでもありません。
単純に、見えている景色が違います。
新人は、そもそも地図を持っていません。
・社内用語が分からない
・誰に聞けばいいか分からない
・どこまで自分で判断していいか分からない
一方で先輩は、もう地図を持っています。
だから、「ここは自分で分かるだろう」と思う場所が、新人には真っ白だったりする。
そしてもう一つ。
新人は、「どの質問が迷惑なのか分からない」。
これが一番大きい。
「これ聞いていいのかな。」
「自分で調べるべきかな。」
「忙しいタイミングかな。」
そうやって考えているうちに、質問のタイミングを逃します。
つまり新人は、質問すること自体に判断コストがかかっているんです。
だから「いつでも聞いてね」だけでは、少し足りない。
ハードルはまだ高いままです。
だから先輩の準備が効く
新人教育という言葉を聞くと、少し身構える人もいると思います。
でも今回の話は、新人のためというより、先輩が楽になる準備です。
質問が来ないと、後でズレが起きる。
ズレが起きると、修正が増える。
修正が増えると、先輩が忙しくなる。
この流れ、よくあります。
だから、質問のハードルを少しだけ下げておく。
ポイントは、言葉です。
「いつでも聞いてね」は優しい。
でも少し抽象的です。
代わりに、こんな言い方をすると空気が変わります。
「10分くらい悩んで分からなかったら、聞いていいよ。」
これだけです。
新人は判断がしやすくなります。
「10分考えたから聞いていいんだ」と思える。
質問する理由ができる。
こういう小さな言葉が、相談の入口を作ります。
現場でやっている具体策
私がよくやっているのは、いくつかあります。
まずひとつ。
「今週は質問多くて普通だからね。」
最初に言っておきます。
新人は、質問が多いと迷惑かなと感じます。
でも、最初から「普通」と言われると気持ちが軽くなる。
次にやるのはこれです。
「この3つは、聞いてくれたほうが助かる。」
例えばこんな感じです。
・仕様で迷ったとき
・クライアントに出す前
・期限に間に合わなそうなとき
この3つだけは、必ず声をかけてください。
そう伝えておく。
すると新人は、「ここは聞くポイントなんだ」と分かります。
そしてもうひとつ。
Slackにスレッドを作ります。
「質問ここ」
それだけです。
DMで抱え込まないようにする。
誰でも見える場所にする。
すると、他の新人も助かります。
「あ、この質問していいんだ」と分かるからです。
相談の入口を作る。
それだけで、チームの空気は少し変わります。
今日からどうする?未来の自分が楽になる準備
完璧な先輩になる必要はありません。
全部答えられなくてもいい。
全部説明できなくてもいい。
でも、ひとつだけ準備しておくと楽になります。
それは、相談の入口を作ること。
例えば、こんな一言です。
「迷ったら10分考えて、それでも分からなかったら聞いてね。」
これだけで、質問のハードルが下がります。
もうひとつ、コピペで使えるものも置いておきます。
Slackで新人が入った日に、こう書いておく。
「今週は質問多くて普通なので遠慮なく聞いてください。
迷ったら10分考えて、それでも分からなかったら声かけてもらえると助かります。
特に
・仕様で迷ったとき
・クライアントに出す前
・期限に間に合わなそうなとき
この3つは早めに相談してもらえると嬉しいです。」
これだけです。
新人教育のマニュアルを作るより、ずっと簡単です。
でも、これを一つ置いておくだけで、現場は少し回りやすくなる。
来月の自分が、少し楽になります。
4月の現場は、どうしてもバタバタします。
でも、小さな準備で詰まりは減らせる。
新人が相談しやすくなる一言は、実は先輩のための一言です。
やってみると分かります。
質問の空気が、少しだけ変わります。
