4月の現場がちょっと楽になる、先輩の準備

新人レビューで迷わない「コメントの型」

デザインレビューって、最初ちょっと緊張しますよね。

画面を見ながら、「ここ、なんか違う気がする」と思う。
でも、その「なんか」が言葉にならない。

沈黙が流れる。
とりあえず「もう少しこう…整いますかね?」みたいなコメントになる。

レビューの場って、独特の空気があります。
発言する人が少し偉そうに見えたり、コメントする側がすごく鋭い目を持っているように見えたり。

でも実際は、そんなに特別な場所ではありません。
多くのレビューは、「なんか違う」を一緒に整えていく作業です。

今回は、新人がレビューで迷わないための「コメントの型」の話をします。
レビューが上手い人は、特別なセンスを持っているわけではありません。

型を持っているだけです。

そして、この型を用意しておくと、実は先輩のほうが楽になります。

4月の現場、だいたいこうなる

4月になると、現場の空気が少し変わります。

質問が増える。
Slackの通知が増える。
同じ説明を、なぜか何回もする。

「これどうすればいいですか?」
「このデザインで大丈夫ですか?」
「レビューお願いします!」

通知が止まらない。

しかもタイミングが絶妙です。
こちらがちょうど別案件の修正をしているときに限って、質問が来る。

新人が悪いわけではありません。
新人からすると、全部が初めてです。

レビューも初めて。
デザインの見方も初めて。
ディレクターが何を見ているのかも初めて。

だから、どうコメントしていいかわからない。
結果として、「これどう思いますか?」が増えます。

ここで先輩が毎回ゼロから説明すると、4月はあっという間に終わります。
レビューのたびに、同じ話をしてしまう。

ここで効くのが、コメントの型です。

新人が入ると、何が起きるのか

新人が入ると、現場では三つの差が生まれます。

知識の差。
用語の差。
仕事の見え方の差。

先輩は「ここは余白が足りない」と一瞬で分かる。
でも新人には、余白という言葉の意味がまだ曖昧なこともあります。

先輩は「このCTA弱いな」と感じる。
でも新人には「弱い」という評価の基準が見えない。

つまり、レビューで起きていることは、
センスの差ではなく、見ている構造の差です。

だから、新人は「なんか違う」と感じても、それを言葉にできません。
そして言葉にできないと、レビューが怖くなります。

逆に先輩側も、こう思い始めます。

「どこから説明すればいいんだろう。」

ここで大事なのは、
先輩が全部教えようとしないことです。

レビューは講義ではありません。
見るポイントを共有する場です。

レビューで役立つ「コメントの型」

ここからが今日の本題です。

新人がレビューで迷わないための、
一番シンプルなコメントの型があります。

それはこの順番です。

①どこを見ているか
②何が起きているか
③どう整えるか

例えばこうです。

「ファーストビューの余白を見ています。
情報が少し詰まって見えるので、上下の余白をもう少し広げると落ち着くと思います。」

この形にすると、コメントが急に整理されます。

別の例。

「CTAボタンの文言を見ています。
少し説明寄りなので、動詞を短くするとクリックの意図が伝わりやすいと思います。」

レビューって、本当はこのくらいシンプルです。

特別な表現は必要ありません。
どこを見ているかを先に言う。

これだけで、レビューの空気が一気にやさしくなります。

レビュー前の「壁打ち」という便利な準備

レビューの話をしていると、たまに新人からこんな質問をされます。

「レビュー前に、ちょっと相談してもいいですか?」

もちろんいいです。
むしろ、そのほうがうまくいくことが多い。

ここでよく出てくる言葉が「壁打ち」です。

でも新人にとっては、ここでまず疑問が出ます。
そもそも壁打ちって何なんでしょう。

難しく考える必要はありません。
壁打ちは、自分の考えを誰かに一度ぶつけて整理することです。

テニスの壁打ちと同じで、
一度打ってみると、ボールの軌道が見える。

仕事でも同じです。

レビュー前に先輩にこう言ってみる。

「このデザイン、ファーストビューの余白が少し詰まって見える気がしているんですが、どう思いますか?」

これだけで十分です。

ここで大事なのは、正解を持っていくことではありません。
「自分はここを見ています」という視点を出すこと。

若手ほど、壁打ちを避ける傾向があります。
理由はだいたい同じです。

・こんなこと聞いていいのかな
・もう少し整理してから相談しよう
・忙しそうだからやめておこう

気持ちはすごくわかります。
でも実は、先輩側はそこまで構えていません。

むしろ、早い段階で壁打ちしてくれるほうが助かることが多い。

レビューの場でいきなり方向が違うより、
その前に少しだけ話しておくほうが、お互いに楽だからです。

もう少し正直なことを言うと、
先輩はわりと「壁打ち相手」になることに慣れています。

だから遠慮しすぎなくて大丈夫です。
なんなら、軽く利用するくらいの感覚でちょうどいい。

「5分だけ壁打ちいいですか?」

この一言で、レビューの精度はかなり上がります。

壁打ちは確認ではありません。
思考を整える作業です。

そしてそれは、ディレクターの仕事そのものでもあります。

レビューでやらなくていいこと

新人がレビューでよくやってしまうことがあります。

それは、完璧な指摘をしようとすること。

正しい答えを出そうとする。
きれいな言葉を探そうとする。

でも、レビューはクイズではありません。

完璧なコメントは必要ない。

むしろ、こんな一言のほうが役に立ちます。

「ここ、少し詰まって見えました。」

これで十分です。

なぜならレビューは、
違和感を共有する場だからです。

もう一つ、やらなくていいことがあります。

それは、全部を見ること。

レビューは全部チェックしようとすると、確実に疲れます。
そして新人は混乱します。

見る場所を決める。

例えば、

・ファーストビュー
・CTA
・余白

これだけでもレビューは成立します。

先輩が全部見ればいい。
新人はまず見るポイントを覚えるだけで十分です。

先輩の準備が、未来の自分を助ける

ここまでの話、実は新人のためだけではありません。

先輩が楽になる準備でもあります。

例えば、こんなメモを一つ作っておく。

レビューの基本ポイント

・余白
・情報の順番
・CTAの強さ
・読みやすさ

これを新人に共有するだけで、質問の質が変わります。

さらに便利なのが、レビューコメントのテンプレです。

そのままコピーして使える形。

レビューコメントテンプレ

・「〇〇の部分を見ています。」
・「△△に見えるので」
・「□□すると、より整理されると思います。」

これだけでレビューのハードルはかなり下がります。

新人も安心するし、先輩も説明が楽になります。

レビューは、センスの披露ではありません。
構造を整える会話です。

今日からどうする?

最後に、未来の自分を楽にする準備を一つ。

完璧な先輩になる必要はありません。
でも、一つだけ型を用意する。

例えば、この3つ。

①見る場所を決める
②コメントの型を作る
③レビューのメモを残す

これだけで、4月の現場は少し変わります。

レビューが怖い新人も減る。
質問の質も変わる。

そして何より、来月の自分が楽になります。

Webディレクターの仕事って、
実は「整える準備」をしておくことが多い。

レビューも同じです。

型が一つあるだけで、
「なんか違う」はちゃんと会話になります。

4月の現場が少し忙しくなってきたら、
まずはこの一言から始めてみてください。

「どこを見ているか」を先に言う。

それだけでレビューは、ずっとやさしくなります。

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投稿者

中村 海斗
中村 海斗
デザイナーからUXライターへ転身。構成と表現のバランス感覚に優れ、デザインの意図を“言葉”として翻訳することを得意とする。デザインとライティングの橋渡し役として、UIテキストや構成設計、トーン&マナーの整備を支援している。