「RSをDeliverableとしてあちらのステークホルダーに提出するから、それまでにタスクフォースチームで進行して」
この一文、さらっと聞き流してしまった人、正直に手を挙げてください。
私は若手の頃、これを聞いたときに一瞬フリーズしました。
でも、顔には出さない。
うなずく。
そして心の中ではこう思っていました。
え、今なに言われた?
でも、なんとなくで進める。
あとでこっそり調べる。
もしくは、誰かの様子を見て察する。
これ、ディレクターあるあるです。
今日はこの「なんとなく通じてる気がする言葉」を、あえて全部日本語にしてみる回です。
目次
若手の頃、雰囲気で生きていたあの時間
さっきの一文、日本語にしてみます。
「要件定義書を成果物として、関係者に提出するので、それまでに専門チームで進めてください」
…いや、わかる。
わかるんだけど。
急に“ちゃんとした指示”になるの、ちょっと面白くないですか。
元の文章だと、なんとなく流せるんです。
でも日本語にすると、「あ、これちゃんとやらないといけないやつだ」と実感が出る。
若手の頃って、この“なんとなく流せる感じ”に救われていた気がします。
わからなくても、場の空気で乗り切れる。
英語っぽい言葉がクッションになってくれる。
でもその代わり、こうなります。
本当は理解していないまま進む。
そしてある日、限界が来る。
「これ、どういう意味で進めてました?」
と聞かれて、内心ドキッとするやつです。
現場でよく聞くやつ、全部日本語にしてみる
せっかくなので、いくつかいきます。
「〇〇さんマターだから」
→「〇〇さんが判断する案件だから」
急に責任の所在がはっきりします。
逃げ場がなくなる感じがすごい。
「一旦ペンディングで」
→「とりあえず保留にしましょう」
これ、やってること同じなのに、日本語にすると“ちゃんと止めた感”が出る。
「アサインお願いします」
→「担当として割り当ててください」
ちょっとだけ、命令感が増す。
「リスケできますか?」
→「日程を調整できますか?」
やさしさが増す。
不思議。
ここで一回、気づくんです。
英語っぽい言葉って、ちょっとだけ角を丸くする。
そしてもう一つ。
曖昧にもする。
だから便利なんですよね。
なぜ私たちは英語っぽい言葉を使うのか
理由はいくつかあります。
一つは、短いから。
「スケジュールを再調整する」より「リスケ」の方が早い。
これは正直、実務では強い。
もう一つは、空気をやわらげるため。
「それ違います」と言うより、
「そこちょっとズレてますね」の方がやわらかい。
さらに、「それスコープ外です」と言えば、
なんとなく“仕組みの問題”にできる。
でも、日本語にするとこうなる。
「それ今回の範囲外なので、対応できません」
急に責任が発生する。
これ、ちょっと怖い。
だから、無意識に英語に逃げる。
でもその結果、どうなるか。
誰も正確に理解していない会話が成立する。
これが一番危ないです。
ある日の会議、翻訳してみたらこうなった
ちょっとした再現です。
「これ、〇〇さんマターなので一旦ペンディングで、次回のMTGでアラインしましょう」
日本語にすると。
「これは〇〇さんが判断する内容なので、いったん保留にして、次の会議で認識を揃えましょう」
…なんでしょうね、この感じ。
ちゃんとしてる。ちゃんとしすぎている。
そして思うんです。
「最初からこっちで言えばよくない?」
でも現場では、やっぱり前者が飛び交う。
なぜか。
ちょっと雑に扱えるからです。
いい意味でも、悪い意味でも。
今はどうしているか。全部日本語にしなくていいけど
全部日本語にする必要はありません。
正直、非効率です。
でも、意識していることがあります。
初めて聞く人がいる場では、日本語で言い直す。
例えば。
「これペンディングで」
と言ったあとに、
「一旦保留にしておきましょう」
と軽く補足する。
これだけで、だいぶ優しくなります。
あともう一つ。
自分でも意味が曖昧な言葉は、そのまま使わない。
なんとなくで「スコープ」と言わない。
ちゃんと「どこまでやるか」と言う。
これだけで、会話の精度が上がります。
結局、私たちちょっと迷子になっている
長くこの仕事をしていると、分からなくなってきます。
これは専門用語なのか。
ただの英語なのか。
相手に伝わっているのか。
なんとなく流れているだけなのか。
そして気づくんです。
自分も“雰囲気で理解している側”になっていることに。
だからこそ、ときどき日本語に戻す。
ちょっとだけ立ち止まる。
それだけで、会話がクリアになります。
全部じゃなくていいんです。
でも、「ここはちゃんと伝えたいな」というところだけは、
あえて日本語にする。
それだけで、現場はちょっとだけ整います。
そしてたぶん、こう思います。
「これ、日本語で言った方が早かったな。」

300300-150x150.png)



