Webディレクター、会議を『お祭り』に変えてみた

企画会議は『大喜利』でいい。スベってもいいから打席に立つ空気の作り方

企画会議、あの沈黙、知ってますか。

「何かアイデアある人?」

……シーン。

これ、大喜利の「シーン……」と完全に一緒です。

誰も手を挙げない。誰かが何か言いかけてやめる。ファシリテーターがにこやかに「どんなことでも大丈夫ですよ」と言う。またシーン。

で、一人がようやく「こういうのはどうでしょう」と言うと、秒で飛んでくるやつ。

「それって、現実的ですか?」

死んだ。アイデアが死んだ。

若手の頃、「いいアイデアしか言っちゃいけない」と思ってた

企画会議、若手のころは本当に苦手でした。

なんか「すごいアイデアを持ってる人が発言する場」だと思ってたんですよね。だから自分には関係ないというか、「あ、俺まだそのレベルじゃないな」みたいな感じで、黙って聞いてた。

でもそれ、完全にズレてた。

打率10割のバッターなんていないじゃないですか。イチローだって3割打てれば一流です。でも企画会議では全員が「打率10割のアイデア」しか言っちゃいけないと思ってる。だから誰も打席に立たない。

立たないから、ヒットも生まれない。

そりゃ会議が沈黙するよって話です。

「現実的ですか?」が企画会議を殺してる

これ、ちょっと強めに言いますけど、企画会議で一番言ってはいけない言葉が「それって現実的ですか?」だと思ってます。

なぜかというと、この一言で「変なこと言ったら詰められる」という空気ができるから。次からそのチームは、現実的なことしか言わなくなる。現実的なことだけ言い合う会議、それはもう企画会議じゃなくて進捗確認です。

企画のフェーズでは「出す」と「絞る」を分けないといけない。アイデアを出す時間と、それを現実的に精査する時間は別でいい。一緒にやると、出すスピードが精査のスピードに引っ張られて、結局何も出てこない。

この分け方、できてるチームとできてないチームで、企画の質がめちゃくちゃ変わります。

ブレスト、ちゃんと説明する

ここで言葉を整理します。

ブレスト(ブレインストーミング)とは、アイデアを批判・評価せずに自由に出し合う発想法のことです。1930年代にアレックス・オズボーンが考案した手法で、4つのルールがあります。

①批判しない、②自由奔放に、③量を重視する、④アイデアを組み合わせる。

この4つのうち、現場でいちばん守られてないのが「批判しない」です。「それって現実的ですか?」「それ前もやりましたよね」「予算的に無理では」、全部批判です。言ってる側はフィードバックのつもりでも、場に「このアイデアはアウト」という判断軸が生まれて、次から似たアイデアが出てこなくなる。

誤解されがちなのが「ブレスト=なんでも言っていい場」という思い込みで、実際はルールがある構造化された手法です。「なんでも言っていいよ」と言うだけでブレストにはならない。進行役が「今は出す時間」「今は絞る時間」を明確に区切ることで機能します。

使いどころは、企画の初期フェーズ・課題解決の糸口探し・チームの意識合わせなど。ちゃんとやると、一人では出なかったアイデアが組み合わさって「それだ!」が生まれます。

企画会議を「大喜利」にすると何が変わるか

本題です。

「今日の企画会議、大喜利形式でやります」

これだけで場が変わります。

大喜利って、スベることが前提じゃないですか。スベったら笑える。笑えるから次も打席に立てる。「ウケなかったけど次いこ」ってなれる。この感覚、企画会議に持ち込むとめちゃくちゃ機能します。

「このお題でアイデアを出してください」という問いと、「このお題で面白い答えを出してください」という問いは、受け取り方が全然違う。後者の方が、なぜか発言のハードルが下がる。

あと大喜利には「スベり賞」という文化があると思ってるんですが、企画でもスベったアイデアを「惜しかった」「その発想はなかった」とリアクションする空気を意図的に作ると、場の密度が変わります。スベったことへの笑いが、次の発言を生むんですよ。

現場でやってること、具体的に書く

「大喜利企画会議」を実際に機能させるためにやっていることです。

① 「お題」を先に出す

「何かアイデアある人?」じゃなくて、「このサービスを使いたくなる一言コピーを考えてください」みたいに、お題の形にする。制約をつけた方がアイデアは出やすい。「なんでもいいよ」は一番難しい問いです。

② 「まず5個出す」ルールにする

質より量で先に走る。「いいアイデア1個」じゃなくて「とりあえず5個」にする。5個出そうとすると、3個目あたりで変なのが出てきます。その変なやつが、実は一番面白かったりする。

③ 最初に「スベり歓迎」を宣言する

「今日はスベってもOKです、むしろ変なの来たら盛り上がります」と最初に言う。これ、笑って言えるかどうかが大事で、進行役が本気でそう思ってる空気が伝わると、場がほぐれます。

④ 出たアイデアに「いいですね」じゃなくて「それ何がいいですか?」と聞く

「いいですね」だけだと会話が止まる。「それって、どのあたりが面白いと思いました?」と聞くと、アイデアが深掘りされて、別のアイデアと組み合わさる。ここから「その発想をこっちに持ってきたら?」が生まれます。

⑤ 「絞る時間」は別でやる

出し終わったら、「じゃあここから現実的に絞りましょう」と明示して切り替える。このタイミングで初めて「予算は?」「工数は?」を持ち込む。出す時間と絞る時間を明確に分けるだけで、出し合いのテンションを保てます。

スベってもいいから、打席に立つ価値がある

最終的に何が言いたいかというと、企画会議は量の勝負だということです。

100個出して1個当たればいい。大喜利だって100本やって笑いを取れるのは数本です。でも打席に立ち続けた人が、最終的にバッターとして信頼される。

「いいアイデアしか言わない人」よりも「スベっても量を出し続ける人」の方が、企画の場では圧倒的に強い。なぜかというと、量を出す中に突然変異が混ざってくるから。その突然変異を拾える場を作れるかどうかが、ディレクターの腕の見せ所だと思ってます。

企画会議は大喜利でいい。スベっていい。次いこ、でいい。

その空気をディレクターが先に作ると、チームのアイデアの出方が変わります。

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