新人の頃 知りたかった社会人の悩み方

ちゃんとしていない自分が 不安だった頃

新人の頃、私はずっと「ちゃんとしていない自分」に不安を感じていました。
仕事ができないとか、知識が足りないとか、そういう分かりやすい理由だけではありません。
もっと漠然とした、「社会人としての自分が、まだ形になっていない感じ」に近い不安でした。

周りを見ると、みんな落ち着いて見える。
メールもきれいだし、話し方も大人だし、判断も早い。
それに比べて自分は、言葉選びに迷ってばかりで、ちょっとしたことで焦ってしまう。
「ちゃんとした社会人」から、ワンテンポ遅れている気がしていました。

今思えば、その不安はかなり抽象的で、正体がつかめないものでした。
でも当時は、その正体の分からなさも含めて、しんどかった記憶があります。

ちゃんとしていない、の中身が分からなかった

「ちゃんとしていない」と感じる理由を、当時の私はうまく言葉にできませんでした。
ミスをしたわけでもない。
注意されたわけでもない。
それでも、どこかで「このままじゃダメな気がする」と思っていました。

振り返ってみると、その不安の正体は、「基準が分からない」ことだったのだと思います。
何ができていれば合格なのか。
どこまで分かっていれば一人前なのか。
その線が見えないまま走っていたから、常に不安定でした。

新人の頃は、正解が目に見えません。
評価も曖昧だし、成長の実感も持ちにくい。
それなのに、「ちゃんとしていなければならない」という空気だけは、なんとなく感じ取ってしまいます。

結果として、「ちゃんとしていない自分」を基準に、自分を測り続けていました。
測り方が分からないまま、測っていたようなものです。

周りはちゃんとして見える問題

新人の頃あるあるだと思うのですが、周りの人はやたらと「ちゃんとして」見えます。
先輩はもちろん、同期ですら、自分より落ち着いて見える。
「なんであんなに余裕があるんだろう」と思っていました。

でも実際には、みんなそれなりに迷っていました。
ただ、迷っている部分が見えないだけだったのだと思います。
仕事が進むにつれて、少しずつそれが分かってきました。

ある日、すごく仕事ができると思っていた先輩が、「私も最初は全然分からなかったよ」とさらっと言ったことがあります。
その一言で、頭の中のイメージが少し崩れました。
ちゃんとして見える人も、最初からちゃんとしていたわけじゃない。
ただ、時間が経って、表に出なくなっただけだったのだと気づきました。

この気づきは、かなり大きかったです。
「自分だけが取り残されている」という感覚が、少し和らぎました。

ちゃんとしようとして 空回りした話

不安だった私は、とにかく「ちゃんとしよう」としていました。
メールは何度も読み返す。
発言する前に、頭の中で何パターンもシミュレーションする。
少しでも曖昧なところがあると、全部理解してからじゃないと動けない気がしていました。

結果として、動きが遅くなりました。
慎重さが、空回りしていたのだと思います。
「ちゃんとしなきゃ」という気持ちが強すぎて、必要以上に自分を縛っていました。

今思えば、その頃の私は、「失敗しないこと」と「ちゃんとしていること」を、同じものだと思っていました。
でも実際の仕事では、失敗しながら調整していくことのほうが多い。
失敗をゼロにするより、立て直し方を覚えるほうが大事だったのに、当時はそこまで考えられていませんでした。

考え直したポイントは ちゃんとしていない前提

ある時期から、少しずつ考え方が変わりました。
「新人の自分は、そもそもちゃんとしていない前提でいいのかもしれない」と思うようになったのです。

これは諦めではありません。
現実的な前提の置き直しに近い感覚でした。
最初からちゃんとしている新人なんて、ほとんどいない。
だから、ちゃんとしていないこと自体を、問題にしなくていい。

そう考えるようになってから、不安の質が変わりました。
「ダメかもしれない」という不安から、「どう調整しようか」という不安に変わった感じです。
不安は消えませんでしたが、扱いやすくなりました。

分からないことは、分からないと言う。
自信がないところは、確認する。
その一つ一つが、「ちゃんとしていない自分」を前に進める方法でした。

ちゃんとしていない時期は 意外と長い

社会人になって分かったのは、「ちゃんとしていない時期」は意外と長い、ということです。
新人の頃だけではありません。
役割が変わるたびに、また「ちゃんとしていない自分」に出会います。

昇進したとき。
担当が変わったとき。
環境が変わったとき。
そのたびに、「また分からない」「また不安」という状態になります。

でも、それは後退ではありません。
新しい段階に入ったサインでもあります。
そう思えるようになったのは、少し時間が経ってからでした。

新人の頃に感じていた不安は、決して無駄ではありませんでした。
不安だったからこそ、確認する癖がついた。
慎重に考える習慣が残った。
今も、その感覚には助けられています。

今なら あの頃の自分にこう言う

もし今、新人の頃の自分に声をかけられるとしたら、たぶんこう言います。
「ちゃんとしていなくて当たり前だよ」と。

ちゃんとしていないからダメなのではありません。
ちゃんとしていない状態から、どう向き合うかが大事だっただけです。
当時は必死で、その余裕がなかったけれど、今ならそう思えます。

これから働く人も、今まさに働いている人も、
「ちゃんとしていない自分」に不安を感じることはあります。
それは、かなり普通のことです。

その不安を消そうとしなくていい。
ただ、「そう感じる時期なんだな」と一度受け取ってみてください。
そこから先は、少しずつ慣れていきます。

ちゃんとしていない頃の自分は、あとから振り返ると、案外悪くありません。
あの頃があったから、今があります。
そう思える日が、ちゃんと来ます。

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投稿者

藤井 真帆
藤井 真帆
編集プロダクション出身。働き方やキャリア形成をテーマに、Webディレクターやクリエイターの“リアルな悩み”に寄り添う記事を多く執筆。取材経験を活かし、読者の気持ちに近い視点で「働き方を整えるヒント」を発信している。