会議中、こんな会話が聞こえてきます。
「RSをDeliverableとしてあちらのステークホルダーに提出するから、それまでにタスクフォースチームで進行して。」
……えっと。
一瞬、理解した気になります。
でもちゃんと考えると、何言ってるのかよくわからない。
PMあるあるです。
なんとなく雰囲気で聞き流して、あとでそっと隣の人に聞くやつです。
「今の、どういう意味でした?」
今日はこれをやります。
ぐちゃぐちゃ英語混じり日本語を、日本語に戻す回です。
若手の頃:理解したフリ選手権
新人の頃、この手の会話にどう対応するか。
答えはひとつです。
理解したフリ。
「はい、了解です。」
(何も了解していない)
「それで進めます。」
(何を進めるのか曖昧)
そして後で困る。
これ、ほぼ全員通る道です。
さっきの例文。
「RSをDeliverableとしてあちらのステークホルダーに提出するから、それまでにタスクフォースチームで進行して。」
これを当時の自分なりに翻訳すると、こうなります。
RS → たぶん何かの資料
Deliverable → 成果物?
ステークホルダー → 関係者
タスクフォース → なんか強そうなチーム
つまり、
「なんかの資料を成果物として関係者に出すから、チームで進めて」
…ふんわりしすぎです。
でも当時はこれで乗り切っていました。
乗り切れていませんでした。
まずは分解してみる:全部、日本語にできる
一回、冷静に全部日本語にします。
例の文章。
「RSをDeliverableとしてあちらのステークホルダーに提出するから、それまでにタスクフォースチームで進行して。」
これを分解します。
RS → 要件定義書(Requirement Specification)
Deliverable → 納品物・提出物
ステークホルダー → 関係者(決裁者含む)
タスクフォース → この案件の担当チーム
全部、日本語で言えます。
つまりこうです。
「要件定義書を提出物として関係者に出すので、それまでに担当チームで進めてください。」
急にわかる。
むしろ、最初からこっちでいいのでは?と思うレベルです。
それでも英語を使ってしまう理由
じゃあなんで、あえて英語を混ぜるのか。
これ、理由はいくつかあります。
まず、短いから。
「要件定義書」より「RS」。
「納品物」より「Deliverable」。
ちょっとだけ楽です。
次に、ニュアンスがまとまっているから。
Deliverableって言うと、「責任持って出すもの」感が出ます。
納品物だと、ちょっと範囲が広い。
そして最後にこれ。
なんとなく、仕事してる感じが出る。
否定できません。
でもここ、ちょっと危ないです。
英語を混ぜると、意味がぼやけることがあります。
現場で起きる悲劇:同じ単語、違う意味
たとえば、Deliverable。
ある人は「納品物」と思っています。
ある人は「中間成果物」だと思っています。
ある人は「最終アウトプット」だと思っています。
全員、ちょっとずつ違う。
でも会話は進みます。
「Deliverableいつ出せます?」
「来週にはいけます。」
「了解です。」
このあと、事故ります。
出てきたものが想定と違う。
これ、英語のせいというより、確認していないことが原因です。
でも英語だと、なんとなく通じた気になる。
ここが罠です。
PM語、わざともう一つ作ってみる
せっかくなので、もう一つ。
現場でありそうな文章を作ります。
「このIssue、優先度HighでFixして、クライアントにShareしておいて。」
はい、来ました。
これも日本語にします。
Issue → 問題・課題
Fix → 修正する
Share → 共有する
つまり、
「この課題を優先度高めで修正して、クライアントに共有してください。」
普通に通じます。
むしろ、こっちのほうが誤解が少ないです。
でも現場では、前者が使われがちです。
なぜか。
もうわかりますね。
慣れているからです。
現在:わからない人がいる前提で話すようになる
経験を積むと、少し変わります。
全員がわかっているとは思わなくなります。
むしろこう思うようになります。
「これ、誰か一人はわかってないな。」
だから、少しだけ言い換えます。
「RS、要件定義書ですね、それを提出物として関係者に出すので…」
最初の一回だけ、日本語を添える。
これだけで、空気がだいぶ変わります。
新人も助かるし、クライアントも助かる。
そしてなぜか、会話の質が上がります。
今日からどうする?:全部日本語で言ってみる遊び
おすすめのやり方があります。
一度でいいので、全部日本語で言ってみる。
たとえばさっきの文章。
「要件定義書を提出物として関係者に出すので、それまでに担当チームで進めてください。」
ちょっと長いです。
ちょっとだけ面倒です。
でも、確実に伝わります。
そして不思議なことに、これをやると気づきます。
「これ、英語で言う必要あった?」
だいたい、なかったりします。
もちろん、全部を日本語にする必要はありません。
でも、日本語で言えないものは、たぶん理解が浅いです。
これ、結構大事です。
結局、私たちちょっと迷子になってない?
ディレクターやPMをやっていると、言葉がどんどん増えます。
RS。
WBS。
KPI。
Deliverable。
Issue。
気づくと、英語と日本語が混ざります。
そしてある日、こうなります。
「これ、専門用語なのか、ただの英語なのか、どっちだっけ?」
さらに一歩進むと、
「これ、相手に伝わってる?」
ここで一回立ち止まったほうがいいです。
私たち、ちょっと迷子になりがちです。
でも大丈夫です。
日本語に戻せば、だいたい見えます。
そして、ちゃんと伝わります。
だから今日から、たまにでいいです。
あえて日本語で話してみる。
それだけで、現場はちょっと優しくなります。

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