「え、それってそういう意味だったんですか?」
打ち合わせの後、デザイナーからそう言われた瞬間、頭の中が真っ白になったことがあります。
確かに説明したつもりだった。
でも、相手には届いていなかった。
あの「伝えたつもり」のズレが、後々の修正やトラブルの引き金になることは、誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。
ディレクターの仕事の多くは「伝えること」ではなく、「伝わるように設計すること」です。
この記事では、僕が現場で実践している“説明力を磨く3つのステップ”を紹介します。
目次
Step 1:説明の前に「相手の地図」を描く
説明は、相手の頭の中にある“地図”に合わせて言葉を選ぶことから始まります。
同じ内容でも、聞き手がデザイナーか、エンジニアか、クライアントかで、最適な言葉は変わります。
たとえば、UIの修正指示を出すとき。
「ここの余白をもう少し広げてください」
「このコンポーネントのパディングを+8pxしてください」
どちらも同じことを言っているようで、伝わる範囲は全く違います。
相手がFigmaを扱うデザイナーなら、後者のほうが的確。
でも、クライアントとの打ち合わせなら、前者の方が伝わりやすい。
説明とは翻訳作業です。
自分の理解を、そのまま話すのではなく、相手の理解の地図に変換して届ける。
この「地図合わせ」ができるかどうかで、伝わり方は大きく変わります。
🔹実践ポイント
説明の前に、心の中で問いかけます。
「この人は今、どの視点で世界を見ているか?」
デザイン視点なのか、数字視点なのか、ユーザー視点なのか。
相手の立場を一瞬で切り替えることが、説明の呼吸を整える第一歩です。
Step 2:「図」「比喩」「順番」でリズムを作る
説明は、言葉だけで完結させようとすると息が詰まります。
頭の中にある構造を、“見える形”にすることで、相手の理解が一気に進みます。
🔹図で見せる
文章で3分かけて説明するより、図で30秒見せる方が早い。
ただし、完璧なデザインを作る必要はありません。
会議中に手書きで線を引くだけでも、“流れ”を共有できます。
僕はよくZoomのホワイトボードやFigmaのコメントモードを使って、「ここからここへ流れる」という線を引きながら説明します。
🔹比喩で伝える
たとえば「このデザイン、情報が多くて整理が必要」というときに、
「冷蔵庫の中にいろんな食材が詰まってる感じです」と言うと、
一気に空気が変わります。
比喩は“場の共通言語”を作る。
抽象的な話も、たとえ一言でグッと具体化できます。
🔹順番を整える
話の順番も呼吸の一部です。
・背景(なぜこの話をするのか)
・現状(いまどんな問題があるのか)
・提案(どうすればよいか)
この3つを守るだけで、相手の理解が追いつきやすくなります。
Step 3:“説明後”の沈黙を観察する
説明が終わった後、すぐに次の議題に進むのはもったいない。
むしろ、その沈黙こそが本番です。
相手が少し考え込むような間を見せたとき、
それは「理解している途中」のサイン。
ここで焦って「大丈夫ですか?」と声をかけると、思考を遮ってしまいます。
僕はいつも数秒だけ待ちます。
相手の表情が「理解」から「納得」に変わる瞬間を、じっと観察します。
そして、そのタイミングでこう尋ねます。
「いまの説明、整理するとどう受け取りました?」
相手の言葉で要約してもらう。
これが、説明が“伝わった”ことの確証になります。
相手の言葉が自分の意図とズレていたら、その場で調整できる。
“伝えたつもり”のまま終わるリスクが減ります。
「伝える」は“届ける”ではなく“整える”
説明力とは、プレゼン技術ではなく、相手との呼吸を整える技術です。
一方的に話すのではなく、相手の理解の速度や思考の間合いに合わせて言葉を出す。
これができると、会議もプロジェクトも驚くほどスムーズになります。
ディレクターの役割は、“説明する人”ではなく、“伝わる構造をつくる人”。
そのためには、自分の説明を磨くよりも、
「相手が理解しやすい空気」を設計することに意識を向けることが大切です。
説明力を磨く3つのステップ
| ステップ | ポイント | 効果 |
|---|---|---|
| Step 1 | 相手の地図を描く | 相手の理解に合わせた言葉選びができる |
| Step 2 | 図・比喩・順番でリズムを作る | 複雑な内容も整理して伝えられる |
| Step 3 | 説明後の沈黙を観察する | 「伝わった」ことを確認し、ズレを防ぐ |

-150x150.png)


