ディレクターズQ&A

「やりたいこと」と「今の仕事」が違う。1年目、転職してもいい?

「今の仕事、本当にこれでいいのかな」。
キャリアのはじまりには、誰しも一度はそんな迷いが訪れます。

今回届いたのは、ディレクター1年目の結衣さんからの相談。
制作ディレクションがしたくてこの業界に入ったのに、実際の仕事はライティング中心。
「我慢して続けるべきか」「思い切って転職するべきか」と悩んでいるそうです。

FIELD NOTE編集部のライター10人が集まり、それぞれの“1年目”を思い出しながらテーブルを囲みました。
テーマは、「やりたいこと」と「今の仕事」、そのズレをどう受け止めるか。

相談内容

他業種から転職してきたディレクター1年目の結衣です。
今やっている仕事が「自分のやりたかったもの」とは違っていて、転職を考えています。
制作ディレクションをしたかったのですが、実際はライティング中心の業務ばかり。
先輩に相談したら「1年目はそんなもんだ」と言われ、我慢して続けるべきなのか迷っています。
我慢しながら今の仕事を続けるか、転職するか——皆さんのご意見を聞かせてください。

スタート !

佐藤
じゃあ今日の相談は、「制作ディレクションがしたかったのに、今はライティングばかり。転職すべきか?」だね。1年目の結衣さんから。

村上
あー、わかる!俺も最初、広告運用ばっかやらされて「ディレクションってどこ!?」ってなった(笑)

西田
現場あるあるだな。理想と現実のズレって、最初は誰でも食らうよな。

藤井
“やりたい仕事”と“与えられた仕事”が噛み合わないと、心がちょっと置き去りになりますよね。

山本
その気持ち、よくわかります。私も最初は進行表を埋めるだけで一日が終わって、「これ、ディレクションって言えるの?」って思ってました。

「やりたいこと」は最初は“仮説”でいい

佐藤
結衣さん、「やりたいこと」ってね、最初は仮説でいいんだよ。
1年目って、まだ地図が真っ白。思い描いた“ディレクション”の姿と現場のリアルが違うのは当然なんだ。
僕も当時は、コーディングばっかりで「こんなはずじゃ」と思ったけど、あの頃の泥臭さが、今の“説得力ある進行管理”の基礎になってる。

中村
僕も似ています。デザインがやりたいと思っていたけど、最初は言葉ばかり書いていて。
でも、言葉を通じてデザインの“構造”を観察できるようになった。
その経験が今の「UIと言葉を橋渡しする」仕事につながっています。
つまり、“違った仕事”の中に、自分の感性を育てる場所があるんです。

“寄り道”が武器になる

西田
寄り道って、後から効いてくるんだよ。
俺も、地味なバナー差し替えとワイヤー修正ばっかの時期があってな。
でも今思えば、そこで“現場の汗”を知ったから、チームの手が止まる原因が読めるようになった。
泥仕事ほど、現場の嗅覚が鍛えられる。

村上
SNSの世界も同じで、最初は“投稿の文言チェック係”みたいな地味ポジションだったけど、
そこで「人のテンションをどう動かすか」を読む力がついた。
地味な作業の中に、必ず“熱量の根っこ”がある。見つけられたら強いよ。

藤井
「我慢」という言葉がつらく感じるのは当然です。
でも、その時間を“吸収期間”と呼び変えてみると、見える景色が変わる。
違う仕事をしているようでいて、実は“観察力”や“共感力”が磨かれています。
それがのちにチームを動かす力になるんですよ。

転職を考えるなら、“方向”より“理由”を見よう

高橋
データ的に見ても、1〜2年目で「転職を考えたことがある人」は約6割。
でも、実際に行動に移す人の半分は“理由が整理できてない”んだ。
だからまず、「何が違うのか」を3つに分けて考えてみよう。

  1. 業務内容(やりたい仕事と違う)
  2. 環境(人・体制・制度が合わない)
  3. 将来像(成長できないと感じる)

このうちどれが一番重いか。数字で言えば“偏り”を見つけること。
転職を決めるのはそれからで十分遅くない。

小川
UXの視点から言うと、“違和感”は大事なデータです。
ユーザー体験における「不満点」って、改善のための一番の手がかりでしょう?
キャリアも同じ。今の環境で何にストレスを感じ、どんな時にワクワクするのかを観察してみてください。
その“仕様書”ができれば、次の行動はずっと明確になります。

「今」の見方を少し変えるだけでも

中村
僕がライティング中心の時期に気づいたのは、「デザインを言葉で説明する力」こそ、ディレクションの核心なんだということ。
“見た目”の正しさを言語化できるようになると、コミュニケーションの質が上がる。
だから、「違う仕事をしてる」と思うより、「別の角度から学んでる」と考えるといいと思う。

山本
私も、進行表づくりを“地味な作業”と捉えてたけど、
そこには「チームのリズムを整える」という意味があることに気づいてから、毎日が変わった。
小さな役割を丁寧にこなせる人が、2年目で一気に伸びるんです。

“我慢”ではなく、“設計期間”として考える

藤井
「我慢」という言葉の裏には、期待があります。
だから、無理にポジティブにならなくてもいい。
ただ、その時間を“自分の設計期間”と思って過ごすと、少しだけ心が楽になる。
焦らずに、自分の成長を見守ってください。

黒川
取材していて思うのは、迷っている人ほど他人の仕事をよく観察しているということ。
その観察メモを残しておくと、数年後に「自分のディレクションの型」になる。
迷う時間は無駄じゃない。
むしろ、現場の“静かな熱”を感じ取る大切な時期です。

結論:10人のメッセージ

佐藤
1年目は“地図を描く時間”。
「違う」と感じたことが、実は次のルートを指してる。焦らなくて大丈夫。

高橋
転職は“逃げ”じゃなくて“選択”。
ただ、数字(理由)を見てから選ぶほうが、後悔が少ない。

中村
“違い”の中にも学びの構造がある。
その空気を感じ取れるようになった瞬間、ディレクターとしての目が開く。

西田
1年目の泥臭さは一生もん。
俺も、汗まみれの現場で覚えた「段取りの肌ざわり」が今の武器だ。

村上
仕事のテンションは自分で上げよう。
どんな業務も「ネタ」に変えられたら、それが最強のクリエイティブだ。

山本
完璧な環境を探すより、今のチームで“呼吸を合わせる力”を磨く。
それがどんな現場でも通用する基礎になります。

藤井
優しさを続けるには、自分を大切にすること。
立ち止まることも、キャリアの中では立派な選択です。

小川
今の経験をプロトタイプと考えてください。
試作を重ねることで、自分らしい“UI=働き方”が設計されていきます。

田中
やりたいことって、時期で変わる。
だから“今の空気感”を味方につけて。軽やかに動ける人が強いです。

黒川
迷いの時間にも、静かな熱が流れています。
焦らず、それを記録してください。
きっと未来のあなたの“言葉”になります。

編集後記

結衣さん、相談をありがとうございました。

1年目で「これって自分のやりたかった仕事なのかな」と思うのは、ぜんぜんおかしくありません。
むしろ、それだけ自分の理想をちゃんと持っている証拠です。

たぶん、どの仕事にも“思ってたのと違う”瞬間はあります。
でも、それをどう見るかでキャリアの景色は変わっていきます。

今の仕事を「外れ」って思わずに、「寄り道中」くらいにしておくと気が楽ですよ。
寄り道で拾った経験が、あとで思いがけず役に立つこと、ほんとによくあるから。

転職を考えるなら、焦らず、自分が何にワクワクできるのかを観察してみてください。
“今”をちゃんと見つめられる人は、どこへ行っても成長できます。

仕事って、想像してた形よりも、ずっといろんな入口があります。
だから、今の迷いも含めて全部「ディレクターになる途中」なんだと思って。

迷ってるのは、悪いことじゃない。
それだけ、自分の仕事に本気になれてる証拠です。

そしてこの「ディレクターズQ&A」は、みんなの“現場のもやもや”を一緒に考える場所です。
今回のように、キャリアについてや、ちょっとした悩み、相談でも大歓迎。
私たちライター全員で、あなたの現場に寄り添っていきます。
気になるテーマがあれば、ぜひ投稿フォームから送ってくださいね。

FIELD NOTE編集部より

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Not For Sale編集部スタッフ