なぜWebディレクターになったのか 現役が語る“はじまり”と1年目のリアル

数字が嫌いだった僕が“データを見る仕事”を選んだ理由 分析屋になるまでの道

いま、僕はGA4やSEOデータを扱い、数字をもとに施策を考え、提案し、改善を組み立てる「分析屋」として仕事をしている。
でも、こんなことを言うと驚かれるかもしれない。

僕は、昔、数字が大嫌いだった。

学生時代の数学は苦手科目。
大学のゼミでも、統計の授業だけは眠くなる。
「数字を扱う仕事だけは向いてない」
心のどこかで、ずっとそう思っていた。

だからこそ、いま数字を扱う仕事をしていると伝えると、
「なんでその道に?」とよく聞かれる。

答えはシンプルだ。

“数字が嫌いでも、数字の向こうの人間は好きだったから”
そして、
“数字が苦手な自分だからこそ見える世界がある”
と気づいたからだ。

この記事では、僕がどうやって“数字嫌い”の自分を連れて、分析の仕事を選び、
そして“この仕事で良かった”と思えるようになったのか…そのリアルを丁寧に話していく。

数字アレルギーのままスタートした1年目。
失敗だらけで、怒られもした。
でも、そのすべてが僕に“この道を続ける意味”を教えてくれた。

僕は“数字が嫌い”というより“数字が怖かった”

数字が苦手、嫌い。そう言っていた頃の自分を振り返ると、実は「嫌い」ではなく、
「数字で自分が判断されるのが怖かった」 のだと思う。

学生の頃、テストでも部活でも、数字は“評価の象徴”だった。
点数が悪ければ落ち込むし、順位が低ければ「才能がない」と決めつけてしまう。
そんな経験が積み重なり、「数字=自分の価値」という思い込みが強くなっていた。

だから、社会人になって初めてSEOレポートを見せられたとき、胸がざわついた。

検索順位
クリック率
閲覧数
離脱率

この数字たちが、「自分の仕事の点数」みたいに見えたからだ。

でも、数字を扱う先輩は、そんな見方をしていなかった。
彼らは数字を“評価”として扱わず、“情報のかたまり”として扱っていた。

「順位が下がったのは悪いことじゃないよ。ユーザーの検索意図が変わっただけかもしれない」
「CTRが低いのはコンテンツの価値が弱いんじゃなくて、タイトルの魅力が足りないだけだよ」

数字は“点数”ではなく、“問いの入口”。
点数だと思っていた頃の自分の世界とは、まったく見え方が違った。

この価値観の転換が、僕にとっての最初の“数字嫌いの克服”だった。

数字を見るのが怖い人ほど、
数字をただの“手がかり”として扱えるようになった瞬間、
視界が一気に開ける。

ディレクター1年目は、数字より「意味」に悩まされた

僕のディレクター1年目は、失敗ばかりだった。

レポートを作っても、先輩から返ってくるのは
「この数字は何を意味するの?」
「どう読み取った?」
「で、次にどうしたいの?」
という質問ばかり。

数字の“正しさ”より、数字の“意味”を問われ続けた。

例えば、CTRが急に落ちたとき。
当時の僕は、慌てて
「落ちました。改善が必要です」
とだけ報告してしまった。

先輩の返答はこうだった。

「なんで落ちたと思う?理由は複数あるはずだよ」

ここでようやく気づく。

分析の仕事は、数字を伝えるだけではなく、
“数字の背景を読み、次の一手を示す仕事” なんだと。

また別の日。
僕は離脱率の高さを見て「コンテンツの質が足りないのかも」と判断した。
すると先輩にこう言われた。

「離脱は“質が低い”とは限らない。
意図が満たされたから離れるケースもある。
数字の解釈は“想像力”が必要なんだよ」

この言葉は今でもよく覚えている。

数字が苦手だった僕が、「この仕事をやりたい」と思えたのは、
数字が“正解を当てるゲーム”ではなく、
“人の行動を読み解く探偵の仕事” に見えた瞬間だった。

苦手だったはずの数字が、
いつの間にか“面白い材料”に見えてきたのだ。

“怒られた日”が転機になった

僕が分析の道を本気で進もうと思ったのは、
1年目の終わり頃に経験した“ある怒られ事件”がきっかけだ。

GAレポートの読み方を間違えて、
クライアントの会議で誤った改善方針を提案してしまった。
幸い大きな損害は出なかったが、会議後に上司からこう言われた。

「数字を恐れるな。数字に振り回されるな。
数字は“答え”じゃない。“お前が考える材料”なんだよ。」

当時は落ち込んだけれど、
この一言が僕の価値観を決定的に変えた。

怒られた=ダメな人間、ではない。
怒られた=“もっと考えられる能力があると思われている”のだと気づいた瞬間、
数字との向き合い方が軽くなった。

若いディレクターがよく陥る
「怒られた=終わり」
という考え方は、僕も同じだった。

けれど、怒られた経験を糧にした日から、
数字への恐怖がなくなり、
むしろ“次はどう読もうか”と前向きに数字を見られるようになった。

怒られることは、評価ではなく方向修正。
数字の仕事は、その“修正力”こそが磨かれる世界だ。

僕が“分析屋”になった理由

なぜ、数字嫌いだった僕が、いま分析を専門にしているのか。

理由は3つある。

1. 数字の裏に“人間の行動”が見えるから
数字単体には価値がない。
でも、その数字の向こうには必ず“誰かの行動”がある。
離脱、クリック、滞在
すべてに人間らしい意図がある。

数字を読むことは、人を理解することに近い。
僕はこの“人間観察の仕事”に惹かれた。

2. 数字は噓をつかない“材料”だから
人間関係のように揺らぎがない。
分析は、正確さよりも「変化を見つけるセンス」が大切。
感性が活きる世界だと分かってからは、数字が武器に変わった。

3. チームを動かせる言語だから
数字を翻訳できる人は、チームの橋渡しになる。
デザイナーにも、エンジニアにも、マーケにも伝わる言語。
この“共通言語を扱えること”が仕事の楽しさにつながった。

数字嫌いだった僕が分析の道を選んだのは、
数字が好きになったからではなく、
数字の向こうの“人間”が見えるようになったからだ。

数字が苦手でも、この道は歩ける

僕が分析の道を選んだ理由も、続けられた理由も、
結局は一つだ。

数字は“恐れるもの”ではなく、“考えるための材料”だから。

数字が好きかどうかは関係ない。
向き不向きは、最初の印象で決まらない。
1年目の迷いや失敗、怒られた経験、
数字が分からず苦しかった時期
その全部が、今の僕をつくっている。

数字嫌いでも大丈夫。
むしろ、数字に距離がある人ほど、
数字を“人間の行動”として読めるようになったとき、
他の誰より強くなる。

あなたの「はじまり」は、“数字の得意不得意”とは無関係です。
数字の仕事は、
人を理解し、チームを動かすための仕事。
数字を読む前に、数字を恐れないこと。
それが、この道で最初に身につけるべきスキルです。

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投稿者

高橋 颯人
高橋 颯人
SEOコンサル出身。数値分析と戦略立案を得意とし、Webディレクター向けに“数字で語る進行管理”を提唱している。GA4やSearch Consoleを使った改善提案を得意とし、数字に苦手意識を持つディレクターにもわかりやすく解説する記事で人気。