Webディレクター、日本語で迷子になりがち

「ご確認いたします」って、実はちょっと気持ち悪くない?

Webディレクター、日本語で迷子になりがちです。

仕様も進行も整理できるのに、メールの一文で急に立ち止まる。
「これ、正しいんやっけ?」って。

僕は敬語が過剰に重なると、つい心の中でツッコミます。
「それ、誰が確認するん?」って。

今回は、「言わないけどモヤる敬語」です。
とくに「ご確認いたします」。
便利やけど、なんか引っかかるあの感じ。
現場あるあるを、ちゃんと分解してみます。

あるある:ご確認ラリーが止まらない

まずは現場の光景から。

「資料をお送りします。ご確認お願いします。」
「ありがとうございます。ご確認いたします。」
「確認完了しました。ご確認ください。」

誰が何を確認してるんや。

ディレクターはだいたい、確認のハブになります。
クライアントに確認依頼。
社内に確認依頼。
エンジニアに確認依頼。
デザイナーに確認依頼。

で、返信は全部「ご確認いたします」か「ご確認お願いします」。

ある案件で、議事録に「ご確認」が11回出てきたことがあります。
そのうち、実際に誰が最終判断するのかは書いていませんでした。

なんとなく丁寧。
でも、実は主語が消えている。

これが、なんかモヤる正体です。

何が引っかかるのか

「ご確認いたします」が気持ち悪く感じる理由は、主語と役割が曖昧になるからです。

確認するのは、誰ですか。
自分ですか。
相手ですか。
組織ですか。

「ご確認お願いいたします」は、相手にお願いしている。
これはわかりやすい。

でも「ご確認いたします」は、自分が確認する宣言。
ここで“ご”がつくと、一気にややこしくなります。

確認するのは自分なのに、相手の行為のような敬語をかぶせている。
なんかよそ行きすぎる。

ぶっちゃけ、ディレクターはここで迷います。
丁寧にしようとすると、過剰になる。
削ると、ラフすぎる気がする。

日本語の迷子ポイントです。

学問上どうなのか

文法的に整理すると、「ご確認いたします」は二重敬語ではありません。

「ご確認」は謙譲語Ⅰ。
「いたします」は「する」の謙譲語。
構造としては成立しています。

ただし、やや“重い”。

本来「ご〜する」は、自分の行為をへりくだる形です。
「ご説明いたします」「ご案内いたします」など。

「確認」は、相手の行為として使われることも多い言葉です。
だから違和感が出やすい。

さらにややこしいのが、「ご確認ください」。
これは尊敬語+命令形。

学問上はOK。
でも、使い方次第では圧が出ます。

つまり、間違いかどうかよりも、「どの場面で誰に使うか」が問題なんです。

実務ではどう扱われているか

ここが現場のリアルです。

正しいかどうかより、伝わるかどうか。

大手企業のメールでも「ご確認お願いいたします」は普通に使われています。
「ご確認いたします」も、ほぼ定型文です。

誰も怒らない。
でも、微妙に主語が消える。

ディレクターは“翻訳者”です。
仕様を翻訳する。
意図を翻訳する。
そして、日本語も翻訳する。

だから僕は、炎上しかけた案件では、あえてこう言い換えます。

こちらで確認し、◯日までに回答します。」
◯◯様にご確認いただき、結果をご共有ください。」

主語を戻す。

これだけで、やり取りの往復が減ります。
敬語の正しさより、役割の明確さ。

ここが実務の優先順位です。

今日からどうする?

敬語って、正解探しを始めるときりがないです。
二重敬語かどうか。
学問上どうか。
上司はどう思うか。

でも、現場で本当に効くのはそこじゃない。

昔、僕が「ご確認いたします」をよく使っていたときのことです。
エンジニアにこう言われました。

「西田さん、自分に対して『ご』付けはるんですね?」

一瞬止まりました。
でも、じわっときました。

あ、俺いま、自分をやたら丁寧に扱ってるやん。
その結果、誰が何をやるのか、ちょっとぼやけてるやん。

そこから決めたのは、ひとつだけです。
迷ったら、主語を戻す。

今日からできるのは、このレベルで十分です。

・自分が確認する場合
「こちらで確認し、改めてご連絡いたします。」

“ご確認いたします”を使わなくても、ちゃんと丁寧です。
しかも、動きが見えます。

・相手に確認してほしい場合
「◯◯様にてご確認いただけますと幸いです。」

“お願いします”だけよりも、少しだけ具体的。
誰が動くのかがわかる。

・両者が関わる場合
「弊社で一次確認後、御社に最終確認をお願いいたします。」

確認のバトンが、ちゃんと見える形になります。

敬語を削るのが目的ではありません。
煙みたいな曖昧さを減らすことが目的です。

ディレクターは、日本語でも進行管理をしています。
言葉がぼやけると、流れもぼやける。

だからこそ、たまに自分にツッコミを入れる。

「それ、誰がやるん?」

そのくらいの軽さで十分です。

またうっかり“ご確認いたします”って打つ日もあります。
そのときは、あの一言を思い出しながら、そっと主語を足す。

それくらいが、ちょうどいい距離感です。

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投稿者

西田 悠
西田 悠
元インハウスディレクター。制作現場で実際に走り回った経験をもとに、リアルな“現場視点”で記事を執筆。現場調整やクライアント対応、トラブル対応など、泥臭い部分も含めてディレクションの「本音」を語るのが持ち味。